雑貨屋のひとり言「あなたは幸せですか」
人は生まれてから年齢とともに獲得と喪失を同時に経験しています。若いうちは獲得することが多いのですが、歳をとっていくに従って喪失が増えていき、途中で逆転します。これだけを聞くと歳をとることは失うことのように思われますが、老後につまらなく感じている(幸福感の低い人)は喪失部分に目を奪われているからです。高齢になっても失うばかりではなく、獲得することも多くあります。シニアになり体が思うように動かない、収入が少なくなるなどの喪失はありますが、思考力や語彙力の向上、物事を広い視野で見る力、自然的なものへの感動、精神的成熟など、歳を重ねていくにつれて獲得できるものもたくさんあります。友人のSさんとよく話します。二人とも若い頃と比べて体力が落ちましたが、自由な時間で楽しい仲間と卓球を楽しめることなど、自分がやりたいと思ったことを精一杯やれている幸せに感謝しています。《R.O.》
川柳(東京・成近)
( 川 柳 )
初対面もう肩書に負けている
飲みこんで見たが小骨が引っ掛かる
鵜呑みした嘘カプセルが溶けてくる
火種まだ残したままでした握手
その先のまさかを知らぬ王手飛車
(ニュースひとりよがり)
「ゴールデンウイーク」
ああ忙しい忙しい —為替市場での諭吉
「3補選全敗」
自滅民主党 —自由民主党
「無関心」
—護憲派ですか 改憲派ですか
—連休歓迎派です
河合成近
龍翁余話(832)「日本の人口減少をどう止める?」
日本の総人口の減少に歯止めがかからない。戦後の日本は軍人たちの復員に伴い人口増加が続いたが2004年(平成16年)12月の1億2784万人が我が国総人口のピークで2005年(平成17年)に戦後初めて前年を下回り(1億2776万人)、以降、毎年減少が続く。そして2009年(平成21年)に減少傾向が一段と顕著になり同年4月の時点で1億2751万人、前年(2008年の1億2769万人)より18万人減。このほど総務省が発表した「日本の総人口」は1億2409万人(2024年1月時点での概算値)。これは前年(2023年)の1億2434万人に比し約25万人減少、2009年からの15年間で何と342万人も減少したことになる。
総務省資料の年齢別人口動向を見ると15歳未満の人口は1424万人(前年比32万4,000人減少)、15歳から(生産年齢層と言われる)64歳までの人口は7397万2000人で前年から29万1000人減少、65歳以上74歳までの高齢者は3622万8000人で、わずかに2万3000人の減少、一方、75歳以上の後期高齢者人口は(前年より73万7000人増えて)1997万人。
この数字を見ても“少子高齢化現象”の著しさが分かる。“少子高齢化の進行”に伴う社会・経済の持続可能性に対する懸念が高まる中、労働力不足の解消や高齢者支援の強化など具体的な対策・検討が急務となっている。
人口減少に歯止めがかからない日本、手をこまねいていては社会(国家)の維持が困難になる怖れがある。政府や企業は対策(アイデア)を総動員し、結婚・出産を望む「若者」や、子育てを担う「家庭」を社会全体で支える意識を高めなければならない。そんな状況下、読売新聞社は先頃「人口減を抑えるための5つの提言」を発表した。今号は翁の意見(カッコ内)も加えながら読売新聞社の「5つの提言」(要旨)を紹介することにする。
【若者の経済的負担を軽減】――国立社会保障人口問題研究所が2023年に行なった「出生動向基本調査」によると、18歳~34歳の未婚者のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた男女は、ともに80%を超えていたが実際は(2023年は)48万9281組で、それまで年間50万組だった婚姻数を90年ぶりに下回った。若者が結婚を控える最大の理由は「経済問題」だ。そこで、新婚夫婦の家賃や引っ越し費用などを最大60万円補助する「結婚新生活支援事業」の補助要件を緩和、出産費用の無料化、保険適用なども考えたい。(確かに、家賃や引っ越し費用、出産費用は一時的な支援であるが、若者にとっては魅力的な施策であろう。)子育て世帯が第2子を産もうと思える環境づくりも大切だ。夫婦1組が産む子どもの平均数は(2021年の調査では)過去最低の1.9人。公益法人「ワンモアベイビー応援団」の2023年の調査では、“第2子主産をためらう壁”を感じる既婚者は、78.6%で、過去10年間で最高だったそうだ。鍵を握るのは“男性の育児休業取得率の向上”だ。“育休”の取得を促すだけでなく代替要員の確保や負担が増す同僚への手当支給を行なう企業に対して助成を手厚くするなどの環境整備が欠かせない。(そうは言っても翁の調べによると、業種にもよるが、男性の育休はなかなか取りにくい。少ないデータだが“育休有資格者”のうち10人中8人が「自分は“育休”を申請する勇気もないし職場環境も整っていない」と答えている。それが現実だろう。)
【所得増と長期安定・格差是正】――若い世代の経済的不安が結婚や出産(第2子も含め)壁になっている。そこで若者が希望の持てる所得増を図り招来不安を取り除き、非正規労働に従事する人を無くすことが不可欠だ。所得向上には企業の賃上げ気運を高める必要がある。連合によると2024年春の平均賃上げ率(4月16日時点)は5.20%と言う高水準だった。現状では人手不足や物価上昇への対応と言う側面が強く、長期に亘る安定した賃上げが望ましい。(確かにそれは望ましいが、現実問題として1部の優良企業を除き大多数の中小企業は“安定賃上げ”どころか“経営存続”の危機にさらされている。日本経済全体の景気回復の戦略・戦術を、もっと議論すべきだろう。また、都市と地方の賃金格差、男女の賃金格差、正規労働者と非正規労働者の賃金格差も問題だ。それらの“格差解消策”も検討されなければならない。)
【多様な働き方、長時間労働を前提とせず】――長時間労働が前提の社会では“男性の育児参加”は進まず、出産した女性の仕事の選択肢も限られる。労働時間を短縮し多様な働き方を選べるよう“働き方改革”を加速させる必要がある。(厚労省の資料による“過労死の現状”は、減少傾向にあるものの年に2000人以上の自殺者が出ている。その原因と推定される中で「仕事疲れ」が30%、「職場の人間関係」が20%強、「仕事の失敗」が20%弱、「職場環境の変化」が10%となっている。したがって“働き方改革”は業務の効率化を損なわない範囲で進める工夫が必要だろう。)
【財源の合意形成と保険・税のベスト・ミックスを】――少子化対策や子育て支援に必要な政策を薦めるには安定した財源確保が不可欠だ。社会保険料の引き上げだけでなく、増税も含め社会全体で広く負担を共有する合意形成が欠かせない。(翁は、増税は反対だが、社会全体で負担し合う基本理念は賛成だ。しかし、それより先に“政府の金の使い方改革”を実施して貰いたい。その“改革”に翁は強く吼えたい「国会議員数と歳費の削減」を。)
【恒久的な対策本部新設を】――昨年4月に発足した「こども家庭庁」の活動状況が見えにくい “少子化対策“は、次代の社会を担う子どもを安心して産み育てる環境を整備すると同時に、若者の所得向上や女性の就労促進など幅広い政策が求められる。(つまり社会・経済・教育・文化、その他、あらゆる分野の施策を進める対策本部の設置が必要であり、それには各界のリーダーや自治体が参加する国民会議の設置が必要だろう)。いずれにせよ読売新聞の「5つの提言」を検討する価値は高い・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。
特別寄稿 ー 井出半句「Welcome to Los Angeles!(第十話)」
LA犯罪事情
間抜けな失敗談を10週も続けてしまった。書き始めたきっかけは、LAドジャースに移籍した大谷を見たい人たちが日本からLAを訪れ、私と同じような事件に巻き込まれないようにという思いだった。そのころショウヘイはまだイッペイの一件に気づいていなかった。頼れる人を信じ切った純真さが裏目に出てしまった。「ショックという言葉では言い表せない」とのコメントだった。スポットライトが強く当たるとその影も濃い。しかしショウヘイはその影さえ、その後の球場でのパーフォーマンスと言動で払い除けている。“アッパレ!”という他はない。(写真はネットより拝借。)
一方、比べるべくもない老いぼれのトラブルの連鎖はどうしたら防げたか、私なりに考えて来た。以前LA地区に居住していたという慢心があったのは否めない。現役時代なら領事館の情報などを把握して、新人出向者が犯罪に巻き込まれないよう心得を忠告していた筈だ。そう思って遅まきながらLA領事館の安全対策情報をチェックした。以下、要点を抜粋する;
【社会・治安情勢】
対日感情は概して良好であるものの、犯罪発生率は高く、レストランやホテル、観光地等で邦人が被害にあう事件も発生している・・・・・これまで比較的安全とされていた邦人の多く住む地域や高級住宅街において路上強盗や車上荒らし、集団によるスリ、置き引きの被害が出ている。・・・・ATMを利用した後、高級ブランドの衣服や腕時計着用している人がターゲットになっている・・・
【日本人被害事案】(2023年の例から抜粋)
・・・車上荒らし、置き引きに会うケースが多い…特に観光地においてレンタカーが狙われるケースが多く発生している。短時間であっても車を離れる際は・・・決して旅券や現金等の貴重品類を車内に放置しないよう心がける必要がある。‥‥ガソリンスタンドにて給油中、集団に襲われ車両を盗まれる事件あり・・・・貴重品は車中に放置せず常に携帯し、車のカギを施錠した状態で給油を行う・・・・パスポートなどはホテルのセーフティーボックスに預ける・・・。
おいおい、これを先に読んでおけよ!と自分に叫んでしまった。私はこの警告でダメと言われたことを完璧に実行したことになるのだ。つまり、因果応報ということで結論は出ていたわけだ。
領事館情報はさらにLA警察管轄内の2023年中の罪種別犯罪件数を掲載している。
これによると、私が被害を受けた車上荒らしは年間30,173件となっている。つまり一日83件は発生しているわけで、なんら珍しい事件ではないのだ。しかしその陰には、一件、一件私のようなストーリーがあるということだ。さらに、
殺人・強姦・強盗・暴行などの凶悪犯罪計:30,141件(筆者注:車上荒らしとほぼ同じ)
住居侵入・車両窃盗・車上荒らし・窃盗などの財物目的犯罪計:106,239件
銃撃案件:2,843件(筆者注:一日8回はどこかでドンパチ事件がある)
銃撃被害者1,206人
現地に住んでいた頃は、こんなことは常識だったのに。その常識が平和な国に戻って16年の間にすっかり霧消してっしまった。まして日本からたまたまLA訪問をする人たちに対して、にわかに注意しろと言ってもなかなか難しい筈だ。「概して対日感情は良好・・・」とLA領事館の情報にあるとおり、現地人はスマイルで迎えてくれる。つまり“Welcome to LA”なのだ。特に、悪い奴らは私のような隙だらけの人間を心から歓迎しているのだ。
そう言えば、先ごろ東京の一流デパートで一千万円余りの純金の茶碗を「鍵を掛けないケース」に展示し、あっさり盗まれた事件があった。しかも犯人にそれを転売されてしまった。鍵を掛けないで展示した主催者の盗難予防に対する意識を聞きたいものだが、お前にだけは言われたくない・・・と言われそうで私には聞けない。新聞やネットで調べてみても、無防備な展示を責める記事は見当たらない。(写真は日経電子版から)
ま、平均的な日本人の防犯意識は未だにそのレベルなのかも知れない。警察署だって本人確認をしないで他人にパスポートを渡してしまうのだから。その一方、悪人はどこの国に於いても常に善人の二、三歩先を考え行動しているわけで、そのことは改めて肝に銘じたい。
しかし、考えても見よ。盗みや強盗などを日常生活で気にしなくていい日本はいかに暮らし易いかということではないか。夜の一人歩きも大丈夫、落とした財布はほぼ戻ってくるし、忘れ物も保管しておいてくれる。小学生の登校は子供たちだけで集団登校し、下校時は幼い一年生が一人で帰る。それでも誘拐の話はあまり聞かない。都会でも田舎でもスクールバスや親の送迎が当たり前の米国ではありえない話だ。
そんな安全で平和な国から、危険の多い米国に行く理由は何か?
スポーツ選手ならメジャーリーグ、プロゴルフ、バスケット・・・・一流の証明としての舞台とその報酬があろう。そして一般人にはその観戦もあろう。スポーツ以外でも日本とは比較にならない自然豊かな国立公園もある。かつて9年間住んだケンタッキーなどはまだ古き良き時代を保っているし、そこここにブルーグラスと言われる芝生に覆われた起伏のある牧場風景はおとぎ話のように美しい。歓迎してくれる友人達もまだいる。これから夏にかけての夕方は、蛍が芝生から湧き出るように飛び交う幻想的なひと時となる。またその時期に行ってみたい。
しかし行くためには、体力、気力そして防犯力も備えないと・・・・。
次回は連載最終章・後日談で締めようと思います。
ジャズライフ Pat Coil “Everything I Love”
今日、はじめてご紹介するアーティストPat Coilはアメリカミズーリ州出身のピアニスト、作曲家、プロデューサー、編曲家です。小気味いいピアノの音は元気を貰えます。美しい曲で素晴らしいアルバムです。《R.O.》
01-Everything I Love
02-I Got Rhythm
03-And I Love Her
04-Softly, as in a Morning Sunrise
05-O Grande Amor
06-Angel Eyes
07-The More I See You
08-A Simple Wish
09-Some Other Time
10-A Fine Line
11-Fields of Gold
12-What a Wonderful World
編集後記「Do You Speak English?」
日本人は学校で相当な時間を英語の勉強に費やしていますが、英語で会話できる人は少ないように感じます。私が英語を勉強していた頃よりも、英語で会話する機会ははるかに増えました。しかし、多くの日本人は英会話を必要としないと考えているため、簡単な会話さえできない状況が残念です。この必要性の欠如が、コミュニケーション能力の低下につながっていると思います。私が駐在員として活動していた時には、業務だけでなく日常生活でも、自己防衛や意見をしっかり伝えるためのコミュニケーション能力が重要でした。しかし、現在の環境ではそのような必要性がほとんどないため、英語会話能力が低下しています。
先日、マンション1階にあるイタリアンレストランに理事会の役員として質問することがありました。オーナーが不在で、そこで働いている人と会話することになりました。彼らは二人ともイタリア人で、英語が話せるとのことでしたので、英語で会話しました。何年ぶりかに使う英語でしたが、理解してもらえました。まず、できるだけシンプルな単語で伝えたいことを口に出し、何度か言葉を選び直しながら話をすることにしました。
私が北米にいて学んだのは英会話ではなく、コミュニケーションの取り方でした。英会話を学んでも、何を伝えたいかがわからない人には役に立ちません。帰国後、公民館で「良ちゃん流英会話教室」を開催したことがあります。参加された人は英語の話し方を学べることを期待していましたが、私の目的は英会話の学び方を教えてあげたかったのです。《R.O.》
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