雑貨屋ウィークリー1444号

雑貨屋のひとり言

近所のショッピングモールのアパレル店The Shop TKが閉店セールをしています。1年前にも有名店が2店閉店しました。私も利用させてもらっていたので寂しく感じています。アパレル店の相次ぐ閉店はアパレル業界の現状を表しているのだと思います。それは低価格、豊富な品揃えと品質で圧倒的な強さを持つ、ユニクロをはじめとするファストファッションとの価格競争に苦戦しているからだと思います。ファッショントレンドを早く低価格で提供されるとブランド力が弱い企業は太刀打ちできず、淘汰されていくことになります。一方、セールをほとんどやらなくても売れる高級ブランド服はそれをステータスとして買うお客がいるので大きな利益を上げているようです。閉店した普通のアパレル店のあとに、高級ブランドの店が来ることはありません。それはプライスに敏感なお客が多い地域には来ないからです。まだ手の届く価格帯のブランド力のあるメーカーが頑張って生き残ってくれることを願っています。《R.O.》

川柳(東京・成近)

( 川 柳  )

メイコ逝きそして今度は八代亜紀

亜紀の訃に昭和演歌が泣いている

舟唄の絶唱を聞く初春の海

亜紀偲ぶ しみじみ飲めばしみじみと

老醜は見せませんよと亜紀は逝き

(ニュースひとりよがり)

「自動車輸出世界一に」

横車も負けてない ― 中国

「安倍派議員10名参加」

ハなしにならない ― 政治刷新本部

「栄枯盛衰」

田中邸も燃えたか ― 安倍派

河合成近

龍翁余話(816)「宇佐神宮」

翁が(大分県へ)帰省の際、必ず訪れる社(やしろ)が2か所ある。1つは地元の「高塚愛宕地蔵尊」(日田市天ケ瀬=地元では「高塚さん」と親しみを込めて呼ばれているパワースポット)、ここは年間の参拝者150万人を数える“神仏混淆(こんこう)”の地蔵尊。戦時中“身代わり地蔵”として出征兵士が必ず参拝したと言われているが、翁も子どもの頃から現在に至ってお札(ふだ)と身護りペンダントをいただいている社である。そして、もう1つは、やはり“神仏習合の祖”で全国4万4千社の八幡宮の総本宮『宇佐神宮』(宇佐市)。昨年の暮れから帰省していた翁、正月に、この2つの“神仏習合の社”へ初詣に出かけた。今号は『宇佐神宮』参詣記である――

先週号(815号)で紹介した『仏の里・六郷満山』の仏教文化の源である『宇佐神宮』は725年(神亀2年)の創建だから約1300年の歴史があり、境内には国宝の本殿のほか、50万㎡の広さの中で多くの社殿が点在しており「境内の隅々まで知る(散策する)には(ゆっくり足で)丸3日はかかる」そうだ。年間200万人を超える参拝者、初詣だけでも(今年は)55万人だったとか。3が日明けても訪れる人は減らず、翁は国道10号(本通り)の八幡駐車場に車を停めた。満杯の駐車場の車のナンバープレートは大分は勿論、福岡・久留米・佐賀・熊本・・・遠くは山口、広島、四国(各県の)ナンバーまで見かけた。

寄藻川(よりもかわ)を渡り直ぐ右側の初澤池(はつさわいけ)に浮かんでいるように見える「宝物館」(国宝の孔雀文書をはじめ『宇佐神宮』にまつわる貴重な文化財が展示されている)を眺め大鳥居をくぐって表参道を歩き「手水舎」で手を洗い口をゆすいで、まずは「春宮神社」(とうぐうじんじゃ)に参拝。「春宮」とは皇太子のこと。ここは『宇佐神宮』の摂社で第15代・応神天皇の御子神が祀られている。その社の前の緩やかな石段を上ると本殿(上宮)の入り口「西大門」(天皇の使者を迎える「勅使門」とも言う)に至り(途中「夫婦岩」の立札があったが、そこは無視して)「上宮本殿」へ。

「上宮本殿」(じょうぐうほんでん)(写真左=左から一之御殿、二之御殿、三之御殿)の一番見栄えのする二之御殿が改築中だったので、写真は同神宮のホームページから借用。

御祭神は「一之御殿」は応神天皇(第15代=八幡大神とも呼ばれる)、「二之御殿」は比売大神(ひめおおかみ=特定の神の名ではなく神社の主祭神の妻や娘、あるいは関係の深い女神を指す)、「三之御殿」は神功皇后(じんぐうこうごう=第14代・仲哀天皇の皇后で第15代・応神天皇の母神)。

ところで、本殿の横に「宇佐神宮の参拝作法は“二拝四拍手一拝”」の立札。他の神社なら“二拝(礼)二拍手一拝(礼)“だが、何故、宇佐神宮は“二拝四拍手一拝”なのか。宇佐市長の是永さんによると「四拍手する意味の第1は、四季(春夏秋冬)、天災に見舞われることなく実りと繁栄を祈願する。第2は四方(東西南北)、四方八方を守護する神に敬意を示す」と言うことらしい(出雲大社も同じ“二拝四拍手一拝”だそうだ)。では“二拝二拍手一拝”の意味は?・・・確かな意味は分からないが“二拝“は神様への敬意と感謝、”二拍手“は鈴を鳴らすのと同じ意味(神様に自分の訪問を知らせる意味)である、が通説のようだ。しかも”二拝二拍手一拝“の作法は1875年(明治8年)の”神社祭式“で決められたとのこと。それ以後、慣例となったので歴史はそう古くはない。

「上本宮殿」の「三之御殿」のはずれに高さ約30m、幹回り約5mの樹齢800年の「御神木」(大楠)が聳え立っている(写真中)。幹に触ると御利益があるとか、ここもまた強烈なパワースポットだ。幹の足元には500円・100円・50円・10円硬貨が投げ込まれている。幹の筋目に100円硬貨が挟み込まれているが、これはマナー違反。翁も大楠の根元に100円玉を投げて“元気”を頂戴した(気分になった)。

実は、翁が是非とも行きたかった場所の1つが『宇佐神宮』のほぼ中央に位置する「菱形池」に浮かぶ「能楽殿」である(写真右)。宇佐には古くから“宇佐観世”と言う能や狂言があり、能は観世流・狂言は大蔵流。戦国の世でいつしか衰退したものの、1600年の“関ヶ原”で功を立てた細川忠興が豊前国中津藩主になって“宇佐観世”を再興した。もっと近づいて「能楽殿」を撮りたかったが今は橋の補修工事で立ち入り禁止。遠景を撮った後「菱形池」を散策。この「菱形池」は、八幡大神が初めて現れたとされる聖地(池)。池の上には「能楽殿」をはじめ(宮大工・寺大工たちの守護神)「木匠祖(もくしょうそ)神社」が鎮座、また昭和天皇が皇太子時代にお出でになり池を鑑賞された場所も保存されている。

♪宇佐は八幡 明けゆく春を 心清めて詣(まい)らんしょ――と言う地元民謡の「宇佐小唄」が1950年(昭和25年)頃に作られ、毎年正月3日に『宇佐神宮』下宮拝殿東側広場で“奉納踊り”が催されるとのこと。地元民の話では「初詣の参拝者と一緒に歌って踊れば、ほっこり(心と体が癒される)春を迎えられる」そうだ。翁は“奉納踊り”は観ていないが、このたびの『宇佐神宮』参詣で“2024年のほっこり春”を迎えた気分になったものだ・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

茶子のスパイス研究「シナモンとオレンジ」

この1月20日の大寒を迎える頃になると東京でも寒さが一段と増す。最近は起き抜けにコーヒーよりも体が温まるシナモンティーが飲みたくなってきた。以前,LAにイギリス系のマーケットでFresh & Easy という店があった。そこの品物のセレクションが好きで毎週、買い物に行っていた。ヨーロッパの食品や食材など気の利いたものがありセンスがあり、それでいて値段も手ごろだった。
その店では冬になるとよく買ったものがシナモンとオレンジが入ったハーブティーだった。中身はシナモンとオレンジピールの他にカモミール、ジンジャー、ペパーミントがブレンドされたハーブティーで私好みの味だった。カフェインが入っていないので胃にも優しく体が温まり夜でも飲めたのでいつも買い置きをしていた。このマーケットは店内のディスプレイもシンプルで洗練されていてレジも早くから自動化されていて使いやすかった。でも、残念な事に数年前に全店舗クローズしてしまった。

それから昨年LAに行った時、ふと、あのシナモンとオレンジの入ったハーブティーが飲みたくなって米系のマーケットでGood Earthの会社のものを買って飲んでみた。お湯を注ぐとマグカップからシナモンの強烈な香りとオレンジの香りが湯煙と同時にパッとあたりに広がった。砂糖も甘味料も入っていないのに、とても甘い味がする。中身は同じSweet &Spice Herb Teaでも私が気に入っていたハーブティーとは少し違う。

中身を見るとシナモンとオレンジピールに加えてブラックティー、ローズヒップ、レモングラス、カモミール、ペパーミント、ジャスミン、グリーンティー、アニスシード、ジンジャーが入っている。悪くはないけれど、やっぱりFresh &Easy のマーケットで飲んだもう少しシンプルなあっさりしたハーブティーの方が私は好きだ。シナモンの入っているもう少し違うブレンドのハーブティーがないか近くのマーケットで探してみたらシナモンアップルスパイスのハーブティーというのがあった。パッケージを見たらCelestial コロラドにあるハーブティーメーカーのセレッシャル社のものだった。以前、コロラドにいる友人の家にいた時、一緒に、この工場見学に行った事がある。工場はコロラドの自然豊かなボルダーという街にあって近くに大学もあった記憶がある。毎シーズン変わるパッケージの絵が好きだったのを思い出した。

ここのハーブティーの中身は、シナモン、ハイビスカス、アップル、カモミール、チコリ、オレンジピール、キャロブ。これはGood Earthのものよりマイルドな感じだけれど微妙に配合するハーブや量によって味が変わる。ややシナモンの味が薄くそのぶんアップルの香りがする。やっぱり最初に飲んだマーケットのシナモンとオレンジハーブティーとも違う味だ。そのうちシナモンスティックのいいものが見つかったらオレンジとクローブとジンジャーを入れて自分の気に入ったハーブティーを作ってみようと思う。そこにアプリコットのブランデーを数滴落とすともっと香りが良くなる。寒い日には、こんな暖かい飲み物を飲んで体を温め血流も気も巡らせるのがいいかもしれない。

スパイス研究家 茶子

ジャズライフ Houston Person “Reminiscing At Rudy’s”

レコードがリバイバルで人気が出てきて、レコード盤の売上が1987年以降はじめてCDの売上を抜いたようです。ジャケットからレコード盤を取り出し、表面のホコリを拭いて、ターンテーブルに載せレコード針をレコード盤にそっと置いて音楽を聴くという一連の動きを楽しんでいるのだと思います。私はそちらの方は全く興味がありません。Musicストリーミングという理想的なシステムで世界中の音楽が聴けるので嬉しい限りです。
今回は1934年生まれのテナーの巨匠、Houston Personのアルバム紹介です。こんな素晴らしいアーティストをまだ紹介していなかったのは驚きです。落ち着いた楽曲で充実したアルバムです。《R.O.》

1. At Long Last Love
2. Again
3. Moon River
4. Put Your Head on My Shoulder
5. Why Did I Choose You
6. Nothing Ever Changes My Love for You
7. My Romance
8. I’ll Let You Know
9. Please Send Me Someone to Love
10. Reminiscing at Rudy’s

編集後記

能登半島地震から二週間、日に日に被害状況が拡大しています。長い年月をかけて築いてきた日常のすべてが自然災害によって一瞬で破壊された被災者の皆さんは言葉では言い表せない深い悲しみと全く先が見えない大きな不安に襲われていると思います。石川県は複雑な地形で土石流などでインフラが寸断され、海岸線が隆起して船着場が使えず、まさに陸の孤島になってしまって救援が思うように進んでいないところがあります。高齢化が進み、今から新しいところで生活するというのも難しいだろうと思ったりします。そんなことを考えながら心が落ち着かない日が続いています。《R.O.》

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