食べる
”あ〜嫌になっちゃうよ、食べて寝るだけの生活…“このつぶやきは昨年、母が入院していた時に同じ病室のある患者さんから溜息と共に発せられた言葉だ。私たちは食べなければ生命を維持する事が出来ないし食べる意欲と生きる意欲はイコールのものだ。
また、食べる意欲があっても食べられない人にとっては本当に辛いものだ。点滴は食べなくても何日も生命を維持する事が出来るけれど口から食物を摂取する事の大切さは心身ともに測りきれないほど大きな力がある。最近の調査でも点滴から早めに口から栄養を摂取した場合の回復力の速さが圧倒的に違うというデーターが出ているようだ。昨年、病院の食事を見ていて日本の病院食の豊かさに感心した。患者さんたちにとっては食べる楽しみが大部分を占める。その病院ではラウンジに一週間のメニューが張り出されていて前もって言えば主食はソーメンかご飯、そしてご飯の柔らか
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ゼリー類 |
柔らか食品(レトルトタイプ) |
流動食、口腔ケア用品 |
さも選べるようになっていた。メニューも複数あって、その患者さんの体調に応じていくつかメニューが選べるのだ。LAでの話だが前回60代の退院してきたばかりの女性の食事を頼まれて何回か通った。1か月の入院中、体重が激減してしまったそうでその原因の一つに病院の食事がまずくて食べられなかったそうだ。大皿に緑やオレンジや黄色のマッシュ(潰した)した食品がてんこ盛りに盛られていてそれが一体何なのかわからず味も素っ気もなく食べる意欲がわかなかったそうだ。この女性の場合は食べる意欲があっても口に合わなくて食べられなかったというケースだ。また、歯が悪かったり飲み
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柔らか食品 |
お魚パック |
込む力が弱くなっていたりで食べる力というものが衰えてしまっている人もいる。健康な人にとってはお腹が空けば食べるというあたりまえの行為が食べる力が弱っている人にとっては大仕事で時には苦痛でもあるのだ。そういう事が入院中の患者さんたちを見ていて初めてわかった。ただ栄養だけあっても美味しくなければ食べる事にストレスを感じて体にその栄養が行きわたらないように思う。目で見て香りを楽しんで味わうという事では日本の食品会社のきめ細やかさには感心させられる。日本の和食文化が海外で受け入れられるようになったのと同じく介護食品や高栄養食品の分野でも今後、日本が注目される日が来るような気がする。医療やロボット技術も日本は世界をリードしているけれど水産技術や農業技術、加工技術もすごいらしい。
この7月には東京でヘルシーフードショーという医療や介護福祉施設向け試食展示会が開催されるそうだ。残念ながら予定が合わないので今回は行けないのだけれど先にそれらの食品を販売しているショップに参考までに行って、いくつか商品を購入してきた。
様々な硬さの食品がたくさんあって展示しきれない冷凍食品、冷蔵食品もカタログ注文が出来るようになっていて病状に合わせたお弁当もオーダー出来るようになっていた。
最近は少しずつ普通の食品売り場でも栄養補助食品のコーナーと介護食品を見かけるようになってきた。普通の食品会社でも医療や介護食に特化した分野の研究や開発も始められているようだ。今後、そういった食品分野でも日本は世界をリードしていけるのではないかと期待している。
茶子 スパイス研究家 |