おばあちゃん達の原宿
先週は母の日、昨年のこの日、母は病院でその日を迎えた。今年は母と巣鴨に出かけた。
巣鴨の商店街は、おばあちゃん達の原宿と呼ばれているように、ここはおじいちゃんやおばあちゃん達の好きなもので溢れている。大抵のものはここで揃うので母が探していた夏用の帽子とショッピングカートとスカーフを買いに出かけたのだ。
何年か前に若者の街、原宿に用事があって母と出かけた時、狭い竹下通りにはたくさんの高校生や中学生ぐらいの年頃の少年や少女がゾロゾロ歩いていた。思い思いのファッションに身を包んで歩いている姿はまるで仮装行列のようだった。その中で母と2人浮きまくって歩いたのを覚えている。その違和感が面白かった。その翌日に今度は巣鴨に出かけたら、まだ昔の昭和を残したような食堂や和菓子屋さん、お漬物のお店などがたくさん並んでいて何だかホットした。ここでは原宿のクレープでな
く、巣鴨の鯛焼きをかじりながらおばあちゃんたちが闊歩している。長い商店街の道のあちこちには座るイスが置かれている。中には休憩所があってお茶も無料で提供されている。
背中にリュックをしょって杖を突いて歩いている人が多い。前回、八百屋さんで働いている若者が店の前の路地でしゃがみこんで段ボールに入っている野菜を忙しそうにパックしていた。その時、杖を突きながら歩いてきたおばあちゃんの杖が若者の背中にパシッとあたってしまったのだ。驚いたその若者は振り返り ” いて〜! ” と大声を上げた。その金髪頭で耳ピアスや鼻ピアスをした若者は振り返ったその瞬間 ”この…(この野郎と言いたかったのだろうが、そのおばあちゃんの後ろ姿を見た途端)婆ちゃん、お達者で〜!”と叫んだのである。そのおばあちゃんは自分の杖が若者の背中にあた
|
|
|
太陽光パネル |
母の日 早稲田の学生と巣鴨にて |
六義園 |
った事も全く気がついてないようでそのままスタスタ歩いて人ごみの中に消えていった。その様子を見て私も母も笑ってしまった。そして何だか暖かい気持ちになった。きっと彼の家族にも身近におじいちゃん、おばあちゃんがいるのかもしれない。
今回、買い物を終えて街中のベンチで座っていると早稲田の学生さんたちが母の所に来て”すみません、一緒に写真を撮らせてください ”と頼んできた。突然の申し出に母は少し戸惑いながらもベンチに座ったまま記念写真を撮った。その傍でその彼らの写真を私も撮らせてもらった。きっと地方から出てきた学生さんなのかもしれない。母の日に帰れない、もしくは母親がいない若者だったかもしれない。勝手に想像を巡らせた。
彼らにとってもおじいちゃん、おばあちゃんたちにとっても楽しい思い出の一日になったと思う。今回、商店街の屋根に太陽光パネルが取り付けられていたのに気が付いた。
もっと前からあったのかもしれないが、この街で若者と今までこの街を支えてきた長老たちが一つになってこの街を盛り上げているのを感じた。
最近は巣鴨に若者や外国人の観光客も多く見かけるようになってきた。特に4の日(4日、14日、24日)は縁日の様にたくさんの出店がずらりと並んでアンティークの小物や雑貨屋で賑わう。まだ巣鴨に行った事が無い人には1度訪れてみるといい場所かもしれない。JR山の手線の巣鴨駅から、この商店街はすぐ目の前にある。少し歩けば六義園もあり老若男女誰でも楽しめる場所だと思う。
茶子 スパイス研究家 |