朝の散策
先週の木曜日にLAから日本に戻ってきた。戻ってくると、いろいろ溜まっている家の用事で忙しい。ようやく一段落着いたところで散歩がてら、いつも歩く道と違う道を歩いてみたくなった。近所に美味しいパン屋さんでもないかと検索してみたら、ここから歩いて十数分の所に数年前にオープンしたパン屋さんがあるらしい。早速朝の散歩がてら行ってみることにした。近くの大通りを横切って小さな路地を少し入ると住宅地の中にお風呂屋さんがあった。地元の人でなければ、通り過ぎてしまうくらい目立たないお風呂屋さんだ。富士山と‘ゆ“という文字だけのシンプルな看板があるだけだ。ふと上を見ると年月
が経った古びた飲料水の看板があった。昔はあちこちにお風呂屋さんがあったらしいがこの周辺ではそこぐらいしか今は残っていないようだ。その先を歩いていくと右手に小さい神社があって、そのあたりから急に空気が変わった。周りを見回すと竹や幹の太い大きな木々に囲まれたユニークな家や建物が見えた。そして、そのパン屋さんはまだ昔の森の面影が残る静かな場所にひっそりとあった。そこの
空間が森の中のパン屋さんという感じで気にいってしまった。そこでメープルシロップを練りこんだ丸い筒型の食パンを購入した。野沢菜が入っているお焼きとピーチのデニッシュは、そこのテラスで食べる事にした。そのパン屋さんで購入したパンをその場で食べたい人にはセルフサービスのコーヒーが付くというのも嬉しい。パン屋さんの売店側とパン工房の間にあるテラスは、4つほど丸テーブルがあり椅子には其々暖かそうなひざ掛けまで置いてある。そこにお客様に対する気配りと思いやりが感じられて、またまた嬉しくなった。
テラスの近くの高い木の上からは伸び伸びと気持ちよさそうな鳥のさえずりが聞こえ久しぶりに、ゆったりとした気分でコーヒーを飲みながら焼き立ての美味しいパンを食べた。サクサクしたピーチのデニッシュもメープルパンもお焼きも全て美味しかった。今度はお昼近くに焼きあがるフランスパンをめが
けて来てみよう…そう思いながら店を後にして次は地元のマーケットに向かった。途中、住宅地の一角に畑があった。その畑の手前には一見、日本の古い町並みのような新しい家が立ち並んでいた。まだ中庭の庭園工事が終わってないようで忙しそうに造園業の人が働いていていた。なんでも星野リゾートを手掛けた建築家の人が設計した建物なのだそうだ。近所にこんな空間がある事は全く知らなかった。 途中、道端で見かけた柴犬をカメラに収め金魚鉢の金魚や花や昔からあるお店などパチリパチリと撮りながら日本らしい町並みを楽しんで歩いた。普段見慣れている人たちには何でもないものが私には新鮮に見える。地元のマーケットでは店長さんお薦めのお魚を購入し今度は商店街に向かった。八百屋さんの店先にはたくさんの春のお野菜が色とりどりに並べられていて見ているだけでも楽しい。
街も季節の花が咲きだしてカラフルになったせいか人々の表情も和らいできたような気がする。帰る途中、祖母が通っていたお豆腐屋さんで大きなガンモを購入して自宅に 戻った。いつも行く駅前のマーケットに行けば全部そこで買い物は揃うけれど、それではつまらない。 たまにこんな風に全く違う道をそれも表通りだけではなく路地や裏通りを歩いてみると意外に面白い場所や店を発見出来るのだな〜と。日本の迷路のような道はわかりにくくて苦手だったけれど、時間がある時は、もっと裏通りの道も歩いてみるものだと思った。東京を車で走る気は無いけれど東京の路地裏通りを歩くというのも楽しいそうだ。
茶子 スパイス研究家 |