バックカントリー
久しぶりに私の荷物を預かってくれている友人のガレージで荷物の整理をしていたら埃にまみれたハイキングブーツが出てきた。ハイカットのこのスタイルのブーツはデコボコした道やゴロゴロ動く石の上を歩く時にも足首を守ってくれるので足をくじいたりしにくいデザインになっている。バックパッキング(衣食住を担いで山の中を何日か歩く)をする時なども必ずこのような靴でないと危ない。もう、このタイプのブーツで4足目になる。最近はなかなかバックカントリーを歩くチャンスがなくて、とても残念だ。でも、いつかジョンミューアートレイルを歩ける時がやってくるかもしれないとハイキングの練習を始める事にしてしばらくしまっておいたハイキングブーツも他のものと一緒にピックアップした。バックカントリーとは日本の辞書を見てみると″人里離れた未開拓の地域、僻地、片田舎、奥地″と出ているがキャンプ場も無ければシャワーもトイレも無くあるのは美しい自然と見かけるのは時々出没するクマや鹿やマーモットぐらい。時々他のバックパッカーも見かけるけれど一日歩いても人を見かけない時もある。だからバックカントリーを歩く場合はちゃんとプランを練ってベテランのリーダーがいるハイカーのグループと一緒に行かなければ危ない。人気のあるバックカントリーは入場制限もあって毎年、許可証をとるのも大変なのだ。そんな入場制限がある所でさえ人と合わない事もあるのだから本当にアメリカは広いな〜と思う。
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El_Dorado_Nature_Center |
シャワーは無いけれど汗は川の水で流す。飲み物も川の水をフィルターで濾して飲む。料理も洗濯も皆、川の水を使う。山の雪が溶けて上の方からゴーゴーと音を立てて勢いよく流れてきている水は何だかとても艶々した透明感があって水本来の力強さを感じる。その水で沸かしたコーヒーは格別美味しい。バックパッキングと言えどもちゃんと豆を引いたものを持参してグルメコーヒーが飲めるのだ。だからテントを張る場所は必ず川の近くをとる。トイレだってシャベル一本で自分の好きな所を見つけて掘って用を足す。まるで野良猫みたいだけれど川から何フィート離れた場所でないといけないとか用足しをした後の処理の仕方とかルールがちゃんと決まっていてウィルダネストラベルコースを受講した時
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Bolsa_Chica |
Bolsa_Chica |
に教わった。自然の中で宿泊した後は石もちゃんと元の場所に戻して人の足跡を残さないのが自然に対する礼儀なのだ。こうやって時間をかけて自分の足で数日歩かなければ見る事が出来ない美しく神聖な場所というのは、まだまだ、たくさんあちこちにあるのだ。車でサッと行って皆でワイワイ、キャンプファイアーをするのも楽しいけれどバックカントリーの自然の美しさは、まだ人があまり足を踏み入れていない純潔さがある。もくもくと山を歩いていると突然、目の前に天国のような(行った事は無いけれど)美しい景色に出くわして茫然と立ちすくんでしまう事がある。自然と向き合いながら自然と対話しながら歩く事は自分にとってメディテーションをしているようなものだ。
バックパッキング用のギアを整理していたら今まで沢山見てきたダイナミックな大自然の山や川や砂漠の景色が走馬灯のように浮かんできて懐かしくなった。
それからハイキングブーツをピックアップしてすぐにREI(アウトドア用品のお店)のキャンプクッキングフリーク
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Camp_Cooking |
Camp_Cooking |
ラスに参加してみた。リンゴの缶詰とインスタントのケーキをミックスして鉄鍋で焼きあげたリンゴケーキとインスタントのコーンブレッドの試食会もあった。キャンプ用のクッキングとバックパッキング用のクッキングは道具からしてずいぶん違うけれどとりあえず、アウトドアの風囲気に浸りたかったのだ。毎年、ガスストーブもテントも水のフィルターもアップグレードしたものが出ていて次回の買い替えの時の参考になるし見ていて面白い。その後、立て続けに近場のハイキングに行ってみた。まずはボルサチカの水鳥たちがいる自然保護地区、エルドラド自然公園、そして昨日はベルモントショアの夕暮れの海沿いと…其々1時間半ぐらい競歩で歩いてみた。
久しぶりにそのハイキングブーツで歩いてみたのだ。そして久しぶりに筋肉痛になった。たった数時間しか歩いていないのに、この数カ月、たいして歩いていなかったせいか体が鈍ってしまっていて自分でも呆れてしまった。
夏が逝ってしまう前にまた息をのむほどの美しい自然に遭遇したいと思ってまた地図を眺め始めている。
茶子 スパイス研究家 |