小国の自然の恵み
昨日、家に戻ると玄関先に大きなダンボールの荷物が届いていた。送り主を見ると新潟の小国に住むOさん家族から送られたものだった。箱を開けるとそこには小国で育った元気なお野菜やお米がぎっしりと入っていた。 先週末は、その小国町の芸術村にある古民家でスパイスセミナーをやらせていただいた。その時に駅に到着した時から帰るまでずっとお世話になったのがこのOさん家族。このOさんご家族からの心温かいギフトに小国を愛する気持ちと人に対する思いやりの気持ちがじんわり伝わってきて、とてもほのぼのした気持ちになった。
この小国は新潟の長岡駅からバスだと65分、各駅停車で乗換えだと4つ目でそこから車で行かないとたどり着かない。今回このスパイスセミナーを企画してくださったのはS画伯の奥様のS女史。そのS女史がこの小国に芸術村があるという事を聞いてこの地を訪れた時に、ここは桃源郷のようだと気に入り、すぐにこの小国芸術村会館の近くにある古民家を購入したのだ。目的はS画白のギャラリーをここに作りたいとの思いと草の根の芸術振興に寄与する為だった。そして私のスパイスセミナーはそのS画家の絵が飾られてあるS女史の所有する古民家でやらせていただいた。
考えてみると私が初めてこの小国を訪れたのは数十年前、S女史の知り合いだった友人に誘われて車で訪れたのが最初だった。どこに行くのか誰が来るのか何のイベントがあるのかも、わからないまま、たどり着いたのが山野田集落にあるこの小国芸術村会館だった。 どこから集まってきたのか詩を朗読する人、びわや三味線をひく若者、演劇をする役者さん、踊りを踊る人など観客も入れて40人ほどの人が集まっていた。
季節は初夏。長いテーブルの上に出された、たくさんのご馳走がどれもこれも今まで見た事もない採りたての山菜料理や川魚で並べられた。その珍しい食べ物が美味しかった事を今でも強烈に覚えている。たくさん食べても胃にもたれる事はなく、山や川のエネルギーがそのまま体に浸透していくのを感じた。この小国はあちこち湧き水があり森の緑から発散される浄化された空気も土地のお野菜を美味しくしているのだろうと思う。
初めて訪れた小国芸術村でのその夜は、まるで浦島太郎が竜宮城に招待され天女の舞を見ながらご馳走を食べるシーンを彷彿するような不思議な時間と空間だった。高い天井からつるされたオレンジ色の灯りは薄暗くて何だか記憶さえもがセピア色で夢心地のままその夜はS女史の古民家に泊めていただいた。朝はカッコーの声で目が覚めたのを覚えている。朝もやの中の冷たい澄んだ空気と緑の匂いが心地よかった。
そして今回、再びその懐かしい山菜料理をOさんが用意してくださった。その料理はどこのレストランで食べるものより私にとって贅沢な滋味溢れる食べ物だった。中でも糸瓜、そうめんかぼちゃとも言われているシャキシャキ感のあるサラダも珍しく美味しかった。もちろん旬のお野菜ぜんまい料理も逸品だった。
ちょうど収穫祭の日も重なって翌日のお祭りにも声をかけていただき、あちこちで収穫されたお野菜や果物をいただく機会に恵まれた。
小国の冬は農業が出来ないほど深く雪が積もるという。その副業として雪を利用して漂白する方法を見出したのが小国紙として全国でも有名になり今では無形文化財として伝統和紙が受け継がれている。その発祥の地がこの小国芸術村なのだそうだ。昔、映画を作りに来た一行がここ古民家を地方と都会の人たちを繋ぐ交流場所、創作活動、発表の場として小国芸術村をオープンさせたのが始まりだそうだ。
その他にもこの小国は歴史とロマンあふれる町で以仁王の伝説にちなんだ花火大会が催される。ユーモラスな巫女爺踊りなど昔から伝わる民話もたくさんある。隠れキリシタンが住んでいた跡地に2マリア地蔵があったり、小国和紙と同じく無形文化財に指定された木喰仏立木観音もある。今回はその木作りの観音様が祭られているお寺にも巫女爺踊りのお人形もOさんの配慮で特別見せていただく事が出来た。
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小国の味物語ポスター |
ざくろパウダー |
ざくろ(鈴木保氏) |
だんだん若い人が都会に行ってしまって小国が寂しくなるとOさんがおっしゃっていた。日本の地方はどこも今その問題を抱えている。私などたいして役にたたないかもしれないけれど、何だかこの小国という町を盛り立てたい気持ちになってしまった。小国に新しく出来た ″もったいない村 物産店 ″も、ようやくだんだん人が入るようになってきたらしい。そこで私も小国のお野菜やお味噌を購入して東京に発送してもらった。
散々Oさんにお世話になり何だか自分の古里を訪れているような気分になってしまった私は来年の春もここを訪れたいと思った。
小国はまさに河合さんの ″あまり知られていない観光スポット″のような日本版の場所だと思う。機会があれば是非この小国に足を運んでほしい。次回はじっくり民族資料館や小国森林公園も歩いてみたいと思う。きっとタイムスリップしてしまうような不思議な感覚になるかもしれない、、、
茶子 スパイス研究家 |