木材祭り A本番と打ち上げパーティー
木材祭り当日の夜明けは地平線の向こうから太陽が力強く昇り始め茜色の空が広がった。
今年のスタッフの黒いTシャツの背中には燃えるような炎の赤い文字が英語で ″かしの木スピリット ″と描かれてあった。そのイメージとその日の朝に見た太陽が重なり合った。昨日の雨に洗われて本番当日は雲ひとつない気持ちのいい青空が広がった。
 |
 |
″いつも木材祭りは、お天気に恵まれて雨が降っていてもイベントが始まる頃にはピタリと雨が止み終わるまで待っていてくれるのですよ ″とスタッフの女性が話してくれた。そしてその日もスタッフの気持ちが天に届いたように見事にお天気は回復してくれた。
特に雨上がりの朝は清清しく空気が澄んだ感じがして晴れのち晴れより雨のち晴れが私は好きだ。7時からの早朝ミーティングと最後の準備に間に合うようにスタッフの方がホテルに迎えに来てくださり会場に母と向った。一昨年前はお客様としてマイクロバスで送迎していただいたが今年はこの木材祭りのスタッフとして参加出来る事がとても嬉しく思えた。
かしの木建設は昭和39年に設立された会社だ。現在は27人もの大工さんを抱える大所帯だ。先代の社長は若い頃、岩手で大工職人として修行し経験を積んでこの千葉に移ってきたそうだ。
″昔の親方は何にも教えてくれなかったから自分で先輩の仕事を見て自分なりに覚えるしかなかったよ。でも今の若い大工さんに昔のやり方でやったらすぐに辞められちまうよ ″と苦笑いしていた。今は社長から会長になられ3年前から息子さんが社長になられ若手の大工さんを率いて頑張っている。それにしても1代でここまで会社を大きくしてきた会長のエネルギーと情熱には頭が下がる。この世代の人たちが其々の分野で頑張り猛烈に働いて今の日本をひっぱり支えてきたのだなーと感慨深い気持ちで胸が一杯になった。
一年に一度の木材祭りを盛り上げる為大人も子供も社 員全員の家族が揃ってその準備をテキパキ手伝っているのを見ていて気持ちが良かった。大人と同じ大工服を着ている子供に″将来は大工さんになるの?″と聞いたら、コクリとうなずいて″なるかもしれない ″と言っていた。
未来の担い手を育てる為にも父親の会社や仕事ぶりを見せるというのは素晴らしい事だと思う。
父親の後姿を見て育った子供たちが今またこのかしの木建設でも会社の担い手になっている。
スパイスのブースの準備も終わり時間があったので会場の中を探索してみた。会場には一昨年と同様餅つき用の新しい杵も用意されバーベキューコンロも用意されていた。大工さん達が忙しい仕事の合間に作った木の作品のテーブルやイス、和風スタンドや書類入れ、木琴や食器棚まで一品ものがズラリと並んでいる。その中の作品の一部は販売され今年はその一部が復興金に当てられる。そしてその作品の一部がたくさんのお客様にくじ引きでお土産としてプレゼントされる事になっていた。
 |
 |
そしていよいよ幕開け10時半の受付開始と同時にマイクロバスや自家用車で続々お客様がやってきた。
オープニングセレモニーは、賑やかなアップテンポの音楽で″まぐろの解体ショー ″が始まった。
席から立ちあがってお客様がその周りに集まり、いきなり会場は熱く盛り上がった。それから開会の挨拶、社長の挨拶に続き社員家族全員が舞台に上がり1人1人自己紹介するシーンもなかなか良かった。皆其々に個性があり元気で、お客様からの拍手や爆笑で益々舞台は盛り上がった。
そしていよいよランチスタート、カレースープの前にも行列が出来た。ちょっとドキドキしながら自分でも味見をしてみた。昨日より味が馴染んで味わいが出てきたような気がした。″カレースープというより
はかぼちゃスープに近い感じになりました。 ″と説明しながら会社のスタッフの方と、どんどんカレースープを配った。″甘口カレースープとやや辛口がありますが、どちらがいいですか?″と聞くと″辛い方 ″と答えるお客様が多かった。″美味しかったですよ、″と何人かのお客様が声をかけてくださった時は本当に嬉しかった。社長が″もう今年は木材祭りを止めようかなと思う時もありましたが喜んでくれるお客様がいると思うと、またその喜んでくれる笑顔を見たくて頑張っちゃうんですよ″と話してくれたその気持ちが良くわかった。
一昨年のアトラクションイベントでは其々の親方と弟子のグループでいかに早く材木を切れるか腕を競い合い観客席からは応援や掛け声が飛び交った。人を育て一人前にするのは本当に大変な事だ。その信頼関係は上司との尊敬がないと出来ないし続かない。今まで米国日系企業で営業として働いてきた私には皆で一致団結して協力しあい何かをやるといった事は無かったのでとても新鮮な感動を覚えた。以前の会社ではミーティングや研修以外はどこで何をしようと売り上げだけあげていれば誰も何も言わなかった。その代わり売り上げが無ければ容赦なく切り捨てられる競争社会の中で孤独はつきもの、同じ会社であってもグループごとの競争もあり同じグループでもテリトリーの問題や売り上げがあって其々が一匹狼で戦わなければならなかった。それに外の敵よりも内側にも敵がいるという事も厳しい現実だった。組織が大きすぎて社員の声が届かない。上からは現場が見えないという事も多々あった。
この数年、会社を辞めてから農業や土に関わりあって仕事をしている人、建築関係の人、職人の人と知り合う機会があり皆、元気で生き生きとした顔をしているな〜と感じた。
27人の侍大工たちも実に1人1人いい顔をしてい た。気骨が入っていて英語で言うとクールな(かっこいい)存在に見えた。そして最後は木遣り唄と手締めで木材祭りは終了した。木遣り唄とはウィキぺディアによると労働歌の一つで1202年に栄西上人が重いものを引き上げる時に掛けさせたた掛け声が起こりだとされるそうだ。また他の説明では民謡の一で大木や岩を大ぜいで運ぶときに歌う仕事歌で地突き、棟(むね)上げ、祭りの山車(だし)を引くときなどにも歌われるとあった。
一昨年初めてこの唄を聞いてその意味もわからなかったけれど何かとても感動した。
先週の土曜日はこの木材祭りに関わったスタッフの打ち上げパーティーがあり母と一緒に招待していただいた。今日は皆いい顔しているなーいつも仕事中もそういう顔をして仕事してくれよ。先週は忙しくて皆食べる時間がなかったと思う。俺も実はマグロを一口も食べる時間がなかった。だから今日は食いたいだけ腹一杯たくさん食ってくれ!こんな社長の挨拶で乾杯が始まり、その後、どのテーブルからもジュージューモクモク勢いよく出る煙と炎に包まれながら皆、豪快に焼肉を食べまくった。その勢いにつられて私もガツガツ遠慮なく、たくさん食べた。
27人の侍大工とその家族も入れると総勢62人の大家族、その家族の中で暖かいぬくもりに包まれ楽しく美味しい時間を過ごさせていただいた。
かしの木の会社のホームページに ″呼吸する家、木の持つ力で暮らし方が変わります。″と言うキャッチフレーズがあったが私の場合のキャッチフレーズは ″植物の持つ力で体が変わります ″こういう啓蒙活動をやっていこうと思っている。
社長が ″また、来年も是非手伝ってください。″と声をかけてくださった。とても嬉しかった。
今年の木材祭りは今までの最高で420名ものお客様がいらっしゃった。″来年はスパイスを使ったデザートだ!″かしの木スピリットに負けないように私もまた頑張ろうと思った。来年はどんなギネスが生まれるのだろう…そう思って心の中がワクワクした。
茶子 スパイス研究家 |