アースデイ(地球の事を考える日)とヨセミテのムーンボウ(月の虹)回想録
今週4月21日22日はアースデイ。今年も世界各地でそのイベントが活発に行われるようだ。日本もあちこちで今回は特に意味のあるイベントになりそうだ。
今年のアースデイ、私はこの土曜日にトパンガキャニオンという所で行われるアースデイのイベントに行ってみようと思っている。
振り返ってみると数年前に訪れたヨセミテのアースデイの日は思い出深 い日になった。まだ残雪のある寒い時期にヨセミテに行くことにした一番の目的は満月の夜ヨセミテの滝にかかる虹(ムーンボウ)を見に行くことだった。
昔はこのムーンボウはいつ出現するかわからなく神秘的な伝説と結びつけられた話がたくさんあったようだが近頃は天文学もコンピューターも発達してかなり正確なムーンボウの現れる日が予測出来るようになった。それでリサーチが得意な友人がその日を割り出し選んでくれた。
今回はまだそのあたりの本格的なキャンプ場が開いてなく私たち4人はテントロッジに泊まることになった。ロッジといっても日本で考える山小屋というものではない。簡易ベッドが大きなテントの中に入っているのを想像してもらえたらわかりやすいかもしれない。下はフロアもマットもない土がむき出しになっている。ベッドには布団も毛布もないので自分の寝袋を持参する。それでもテントの中に小型ヒーターがあり、電気の明かりがありテントロッジのすぐ近くにテーブルもイスも用意されてあり水もある。そして水洗トイレもあるからキャンプとしては贅沢なほうだ。
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私たちがテントロッジにたどり着いた時は平日だったので、あまり人もいなく静かだった。早速、夜中に訪れる滝のあたりを下見に行った。まだ日も暮れていないのに、すでにいいスポットはフォトグラファーたちが場所を確保するために早々と待機していた。一旦テントロッジに戻り夜の食事の支度とキャンプファイアーの準備をしているとお隣のテントロッジの男の人2人がワインと果物の差し入れをしてくれた。
私たちはキャンプファイアーの火を囲みながら彼ら2人の山の話や祖国イランの話やそこでの生活や文化などなど、いろいろドラマティックな話を語る2人の話しに興味深く耳を傾けた。
イランと言えばスパイスはサフランが有名だ。もうすぐ私が日本にスパイスの試験を受けに行くというと2人のうちの1人が料理に使う為に持参したサフランを気前良く全部くれた。サフランはアヤメ科の多年生草で一つの花のめしべからたった3本しか採れない。しかも手で採取し乾燥させなければならない。乾燥させるとまたいっそうサフランのめしべは小さくなる。だから最も高価なスパイスでスパイスのキングとも言われている所以だ。香りというより色付けとしてパエリアやスープなどの料理に使ったりする。また布地の染物にもその鮮やかな黄色は神聖な色として位の高い人たちに使われてきたようだ。高価なので、その代用にターメリックを料理や染物に使ったりもする。
サフランをくれた人の相棒はこのサフランを使ったサフランライスと料理で翌日私たちをランチにも招待してくれた。2人では食べきれないので是非どうぞと声をかけてくれた。
どんな風にスパイスを使うか私にとっては非常に興味深いランチでまたまた楽しい会話がはずんだ。
ところでムーンボウは静かに神聖に見るものかと思ったら何だかお祭り気分で夜になるにつれ人が増えダンスをしてはしゃいでいる人がいればギターを弾いたり唄ったりしている人もいてそのパフォーマンスを見ているのも面白かった。空を見上げると時々流れ星がスーッと横切る。下界は月の光に照らされ滝にだんだん虹がかかり始めなんともその様子は幻想的だった。
翌日、ヨセミテ公園の観光案内所の広場に行くとそこでアースデイのイベントでブースにはエコに関係したものスナックや飲み物のサンプルが皆に無料で配られていた。そこで私は大豆から作ったソックスやヨセミテ公園の挿絵のあるノートとペンそして日本のお茶のメーカーもブースに出展していたのでその飲み物まで頂いた。またその先にはワインブースもあったので立ち寄ってみたらそのブースのバックにジョンミューアーの写真があった。
ジョンミューアーはハイカーにとって神様のような憧れの人物だ。私が参加しているシエラクラブのハイキンググループも自然や環境保護の目的で彼が創立した。
ヨセミテやカリフォルニア、グランドキャニオンと素晴らしい自然を国立公園として制定させ守ってきたのも彼の功績だ。何しろ彼は登山家でありナチュラリストであり探検家であり、作家であり発明家であり木工も得意で農夫でもあった。
自然保護の重要性を訴えて時の政府のトップであるルーズベルト大統領の心を動かし彼もジョンミューアーに賛同し自然保護に努めた。
ジョンミューアーが残したぶどう園は今も受け継がれてそのぶどう園で出来たワインがたくさんの人に愛され飲まれている。
ワインを味見しながらしみじみジョンミューアーの写真を見ていたら後ろから″そこでワインをついでいる人はジョンミューアーのお孫さんだよ″と知らない人が教えてくれた。
ジョンミューアーはもういないけれど彼の血をひくお孫さんに会えただけでも何だか彼のスピリットに触れたような気がして嬉しくなった。
ブースはまだまだ続く。少し先の公園に行くと今度は地元で採れた旬の野菜やフルーツのサラダがホテルのシェフたちからフリーで振舞われると言う。おまけにデザートは自家製のキャロットケーキまで用意されているというので私はもうハイキングの予定はどこかにすっとんでしまった。何が何でもハイキングよりそちらを優先したいとそこに居座った。テコでも動かなそうな私の固い意志に大らかな友人達はともかくランチを食べてからハイキングをする事に
同意してくれた。そしてシェフたちが準備する様子を眺めながら食事の開始まで待った。その時食べた元気で新鮮なブルーベリーと苺の入ったホウレンソウのサラダが今も忘れられない。ホウレンソウは葉が小さく少し固めでカールしているのでカーリースピナッチと呼ぶ。この時期だけに採れる旬のお野菜だ。歯ごたえがあって美味しい。ドレッシングはあっさりした酸味と甘味のあるドレッシングでお野菜そのものの味を引き立てる味だった。これでエネルギーを充電させたら丸一日歩き続けられるような気分になった。
そしてもう一つラッキーだった事はアンセルアダムスというヨセミテやカリフォルニアの素晴らしい自然 の写真を残した人がいるのだが彼が撮った写真と同じ位置から景色を見るハイキングツアー(1時間ほど)に無料で参加出来た事だ。
アースデイとヨセミテのムーンボウが偶然重なって何から何まで至れり尽くせりのもてなしを受けたようで本当にいい思い出深い日になった。
まるで私たちはヨセミテからウェルカムされたに違いないと思えるくらい全てスムーズに事が運んだ。
ハイキング仲間の1人が ″ヨセミテは春や夏や秋もいいけれど冬は冬で静かでいいよ。実は自分は1番この冬の時期にヨセミテを訪れるのが好きなんだ。冬はヨセミテに神が降りてくると言われているけれどそんな感じがする。″と言っていた。
何だかわかるような気がする。いつかチャンスがあれば私もそんな冬の時期にヨセミテを訪れてみたいと思う。そしてジョンミューアーが愛したヨセミテからマウントウィットに続くジョンミューアートレイルを体力のあるうちに歩いてみたいと強く思った。
茶子 スパイス研究家 |