【筆者注:今回は連載中の『サウスベイ経営セミナー15年を振りかえる』シリーズを中断させていただき、表題のテーマとさせていただきます】
恐ろしいことが起きました。日本での観測史上最大であるM9.0の大地震が発生し、東北地方はじめ、太平洋沿岸を襲った津波は多くの市街地を飲み込み、犠牲者の数はとどまるところを知りません。この大災害で犠牲となられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。また、家族、親戚、友人、知人を亡くし、家を無くされた被災者の皆様にお悔やみ、お見舞い申し上げます。当地ロサンゼルスを含むアメリカ・西海岸は日本同様に地震多発地帯です。他人事ではありません。今回の日本の大災害に対し、当地ロサンゼルスの日系コミュニティでも商工会議所、各県人会などが中心になって支援活動を始めました。
今回の震災に対し、アメリカ合衆国でもオバマ大統領をはじめ国を挙げて支援活動に取り組んでくれています。友好国の支援に感謝々々です。一方、アメリカ国務省は13日午前中、アメリカ市民に対して、日本へは渡航すべきではない、というトラベル・アラートを発表しました。日本への観光旅行や、緊急でない旅行はさけるべきと警告しています。トラベル・アラートの理由として、被災地域での水や食料の不足、電話がつながりにくいこと、そして、原子力発電所の炉心溶解事故への危険性などをあげています。
このような大事件が発生してしまったので、少々日本人の関心が薄くなった感がありますが、3週間前に発生し、日本人も多数巻き込まれたニュージーランド地震も忘れられません。前回のこの欄で、さくらさんがこのニュージーランド地震に関し、現地クライストチャーチに在住するキャンベルご夫妻の献身的な救援活動について紹介されていました。非常時において、このような心あたたまる話に私は感動しました。そこで、さくらさんのご了解をいただき、これをロサンゼルスの日系人、日本人の皆さんにご紹介すべく当地ロサンゼルスで発行されている日英語日刊紙の羅府新報に寄稿しました。以下は16日の羅府新報「磁針」コラムに掲載された私の文章です。私の作文能力と磁針欄の文字制限(850文字)があるため、さくらさんの意図を充分表現できていないことをお詫びいたします。
今回の東日本大地震は日本では観測史上最大とか、目を覆うようなテレビ映像に体が震えた。一方、日本人をも巻き込んだニュージーランド南部地震から既に3週間経った。そんな中で、現地クライストチャーチに住む多くの心ある地元民や日本人永住者による献身的で積極的な支援活動があったという、心あたたまる話題に接したのでここにご紹介したい。
大地震直後、東京に住む私の友人のSさん(女性)に震源地近くに住むSさんの親友キャンベル和美さんからEメールが届いた。そこには現地の惨状が記され、自分たちも困っている日本人を探し、家で暖をとり、休んでもらおうと夫婦で出かけ、被災した多摩大学生(8人)と教諭(1人)を自宅へ案内し、翌日、無事帰国を助けたという。その後、キャンベル夫妻は、NHKの衛星放送で富山外国語専門学校の被害者の多さを知り、その学校のHPにアクセスしたが、なんらかの理由でHPは閉じられ、アクセス不能だった。そこでキャンベル夫妻は、日本(東京)に住むSさんに富山外国語専門学校へ連絡をとってもらい、夫妻の支援申し出を伝えたそうだ。混乱状態下にありながら富山外国語専門学校の電話窓口の応対は極めて丁寧、適切だったという。
Sさんの伝達に対し学校長から被災地で救済された1人で、現地の引率者でもある亀遊先生の携帯電話番号を聞き、翌日から、キャンベル夫妻は亀遊先生と連絡をとり、被災者とその家族、レースキュー隊のお世話をしたりして今も現地でサポート活動を続けているという。
ところでそのキャンベル夫妻だが、彼らも昨年9月に発生した地震で自営するレストランが大きな被害をうけていたのだという。ただ今回は、奇跡的に店も住まいも被災を免れたとのことだった。
名も知らぬ日本人被災者へ食料や水、宿を提供してくれたキャンベル夫妻に、深甚なる敬意を表したい。また、今回は情報収集や連絡のツールとして活躍した携帯電話やインターネットの力も再確認した。Sさんも素晴らしい友人を持ち幸せものだ。(河合) |
なお、上記の「磁針」コラムは、羅府新報ホームページにも掲載されています。
下記のURLをクリックしていただければ見ることができます。
http://rafu.com/news/category/japanese-columnists1/
河合将介(skawai@earthlink.net) |