――― 前号よりの続き ―――
前回のこの欄でご紹介した、15年前(1995年1月3日付)の日本経済新聞の特集記事『2010年の科学技術と産業』の中に『生活者が望む技術・人気ランキング』というコラムもあります。私たち一般生活者は近未来にどのような技術を欲しがっているのだろうか。これから15年後の2010年に実現の可能性のある50の新技術・新サービスを抽出し、その人気度を調べ、ランク付けしたものです。以下、そのトップ・20として次のような項目が掲載されています。
(1) 完璧な治療効果のあるエイズの特効薬。
(2) アルツハイマー病などの老人性痴ほう症の治療薬。
(3) 農薬などの不純物が完全に除かれたおいしい食品や水。
(4) 地球温暖化ガスの分解や固定化の技術。
(5) 廃棄物を全く出さない工場生産システム。
(6) ガソリン車より走行効率がいい電気自動車。
(7) 電力を太陽電池で賄うソーラー・ハウス。
(8) 臓器移植が不要になる高性能の人工臓器。
(9) 大地震予報サービス。
(10)小惑星や巨大隕石の地球衝突を回避するための技術。
(11)体内に入って治療する医療用マイクロマシン。
(12)完全リサイクルが可能な乗用車。
(13)寒冷地でも収穫可能な稲。
(14)海水による温度差発電。
(15)砂漠でもすくすく育つ植物。
(16)電気抵抗ゼロの送電線。
(17)修繕する必要のないメンテナンス・フリーの住宅。
(18)書斎の百科事典や蔵書をすべて収録できる小型チップ。
(19)東京と大阪の間を一時間程度で結ぶリニアモーターカー。
(20)アワビやズワイガニなど高価な水産物の海洋牧場。
上記20項目は、15年前の予想では今年には実現の可能性ある新技術・新サービスということになっていますが、一部実現に近づいているとはいえ、ほとんどは完璧に実現とまでには到っていない(多分、今年の年末まででも可能性の薄い)ものばかりです。新技術は日々進歩していますが、それでも先行き険しい道のりでありことが実感できます。日常生活が効率化され、便利になるだけが進歩とは思いませんが、上位を占めているエイズ・痴呆症などの治療薬や地球環境保全のための技術など、私たちの生活の質を高めるための技術については、一日でも早く実現して欲しいものです。
***********************
この記事の『生活者が望む技術・人気ランキング』には実現希望の上記項目とは別に、2010年に実現の可能性があるが実現して欲しくない『不人気ランキング』も掲載されています。参考までに『不人気ワースト・テン』は次のとおりでした。
(1) 遺伝子操作で作ったペット用の小型象や小型鯨。
(2) 男女産み分け技術。
(3) 500階建て超高層ビル。
(4) 必ずふさふさになる毛はえ薬。
(5) 一粒で満腹になり、栄養バランスを満たした薬。
(6) 一時的に日常の喧騒から逃れられる人工冬眠装置。
(7) 地下巨大都市の建設。
(8) 天候コントロール技術。
(9) 海底都市の建設。
(10)安全性の高い、無人操縦飛行機。
上記の中には、なぜ不人気なのか私には理解しがたい項目もありますが、これらは必ずしも生活を豊かにしたり、質をたかめるための必要性が高くないということなのでしょう。
河合 将介( skawai@earthlink.net )
河合将介(skawai@earthlink.net) |