前回のこの欄でご紹介したJACALでの年初恒例の『大予測』は既に10回(10年)以上続けてきました。ここでいう『大予測』とは、毎年1月のJACAL定例ミーティングの時に、集まったメンバーの皆さんが、あらかじめ作成された経済・政治・社会一般など20項目ほどについての予測表に記入し、一年後の年末時点でどう変わっているだろうかを予想しようというものです。
予測項目のうち、経済に関する基本項目は毎回同じものにしています。年末の円・ドルならびに円・ユーロ為替レート、東証(日経)とNYダウ平均株価、失業率などです。また、日本のプロ野球優勝チーム(セ・パそれぞれ)予想も毎年変わらず取り上げてきました。
その他については、その時々の関心事を取り上げています。たとえば、昨年(2008年)の予測表では年初、私たち最大の関心事は米国大統領選挙でしたので大統領選挙での「共和、民主両党の指名候補者名は?」、「どちらの党の候補が最終的に大統領に当選するか?」を各自が思い思いに予想しました。
また、2008年初当時、急速に値を上げ$100(バーレル)に迫っていた原油価格に注目が集まってきたこともあり、「NY原油先物相場(WTI)の年末価格は?」についても皆さんに記入してもらいました。日米以外では3月に実施された台湾総統選挙や北朝鮮問題も含まれています。
日本に関する項目としては「衆議院解散の有無」、「年末に在任している首相の名」など。さらに昨年は北京オリンピック開催の年であったので、「日本選手の金メダル獲得数は?」、「金銀銅メダル獲得総数は?」なども項目に含めました。
さて、先日2009年第一回のJACALは定例開催日である第二火曜日(1月13日)にいつもの若尾邸で開催され、大予測一年間の結果あわせを行いました。為替や株価、原油価格などは誤差5%以内、また、メダル獲得数は前後三個以内を的中としました。
一年後の変化を予想することは意外と難しいものですが、それでもこれまでは最低でも半分くらいは的中した人が大半でした。最高的中者として表彰されるためには70%くらいの的中が必要でした。
ところが今回はメンバー全員が悲惨な結果でした。年初にはそれぞれ皆さん、自分が持つ知識と情報を総動員して年末を真剣に予測し、また予測した時点ではそれなりに確信をもって予測表に書き込んだはずだったにもかかわらず、全員が半数も的中できませんでした。昨年(2008年)の経済、世相の急変は私たちの予想をはるかに超えたものであったことがわかります。私自身も恥ずかしながら的中したのはほぼ3分の1ほどでした。一年はたったの365日、そんな短い期間の変化も見通すことが出来なかったことに、自分の不徳を恥じながらも世の中の変化の急に今更ながら驚かされます。
皆さんの的中項目が少なかっただけでなく、各自の予想と結果の差が大きく開いたのも今回の特徴でした。昨年末には$100/バーレルに迫っていた原油価格(WTI)が年末に$39にまで下落するとは専門家でも予測困難だったのではないでしょうか。私を含め、JACALメンバーの皆さんの年末予測は最低でも$100を超えていました。(現に年途中では$150に近づきました)また、為替レートも年末に1$=¥90、1ユーロ=¥127にまでの円高進行、株価の大幅下落も私たちには予測の範囲外でした。
米国大統領選挙に関しても昨年初にオバマ氏を予想した人は完全に少数派でした。たったの一年前の予想表に真面目に書き込んだ米国大統領候補名なのに一年後の今になって、「そういえば、そんな名前の候補者がいたね」はまだよいほうで、「エッ?そんな名前の人いたっけ?」なんて言葉まで飛び出す始末で、世の中の移り変わりを実感させられました。
さて、いよいよアメリカはオバマ大統領が世界中の期待を背に就任しました。急速に落ち込んだ景気や失業問題、さらには世界を覆う多くの不安要因の解決に新しいオバマ新政権に実行力がどのように立ち向かってくれるか大注目です。
新しい年2009年のスタートにあたって、私は今年の「大予測表」に希望的観測を含め年末にはより明るい世の中になるとの強気の予想を書き込みました。どうか私の予測が年末までにすべて達成されて、100%的中となって欲しいものです。
ただ、以前にも書きましたが、経済や失業問題の解決を戦争に頼ることだけは絶対にしないで欲しいとつけ加えたく思います。
河合将介(skawai@earthlink.net) |