昨年の7月、私たち「海外有権者ネットワークL.A.」が主催した「ロサンゼルス政党討論会2007」は、日本以外の地で初めて開催された「日本の政党討論会」として日米双方で大きな話題となりました。
このたび、この政党討論会のために当地ロサンゼルスまで来られた4人の国会議員が中心になり、衆・参両院議員に呼びかけ、「在外投票を推進する議員連盟(略称「在外投票推進議連」)が結成されることになりました。その第1回総会が5月22日(木)に衆議院第1議員会館で開催される予定とのことです。
私たちのような海外在留日本人が祖国の国政選挙への投票実現をめざし立ち上がってから15年、国会・内閣への請願、日本弁護士連合会への人権救済申し立て、さらに最高裁大法廷での違憲判決を得、今では在外日本人も比例代表選のみならず選挙区選挙にも投票できることになりましたが、在外投票についてはまだ多くの問題点、課題が残っており、改善の必要があります。
複雑な選挙人証手続き、投票所と投票期間・方法、選挙広報周知不足など、日本国内の有権者にくらべ不利な条件下にあり、これが在外投票率の低迷の主因となっていることは明瞭です。また、将来的には海外選挙区の創設も課題のひとつでしょう。
日本の外務省の発表によると、昨年の参議院選挙では、約80万人の海外有権者に対し、選挙人登録者は10万2,600人、登録者に対する投票率は比例代表が23%強でした。有権者数に対する投票率は、わずか3%弱にとどまっています。
祖国の政治に関心の高いはずの海外在住日本人が日本の国政選挙に参加できないのは問題です。例えば日本全土より広い当地カリフォルニア州で投票所はロサンゼルスとサンフランシスコの2箇所であり、郵便投票が認められるようになったとはいえ、投票率の向上には限度があります。電子投票の実現など制度の工夫が必要ではないでしょうか。
選挙制度の見直しは公職選挙法の問題であり、立法府による法律の改正が必要です。今回の「在外投票推進議連」の発足は、昨年の「ロサンゼルス政党討論会」に出席してくれた議員の皆さん達がこれら海外の問題を真剣に受け止めてくれた結果であり、また各政党が私たち海外在住日本人の存在を重視している証といえるでしょう。
当面はたいした票にならないことであっても、将来を見据え、議連を設立してまで在外選挙制度の改善のため動き出した日本の政党には心から敬意を表すると同時に、私たちが在外投票実現運動をスタートさせた15年前に比べ、ここまで進んだ日本の国際化に隔世の感を禁じえません。
5月22日の「在外投票推進議連」第1回総会には私たちの「海外有権者ネットワークL.A.」からも高瀬会長が招かれ、「在外投票の現状と課題」について講演をすることになっています。
河合将介(skawai@earthlink.net) |