先日、近所のレンタル・ビデオ店から借りて観た日本のテレビ番組に「世界に誇る日本の老舗力(世界一受けたい授業、NTV系列、2007年6月30日放送)」というのがあり、たいへん興味をひかれる内容でした。
この中で、講師(亜細亜大学教授、横沢利昌氏)によると日本には100年以上の歴史を持ち、今でも続いている老舗と言える会社は5万社以上あるのだそうです。4千年以上の歴史を誇る中国でさえ100年以上続いている会社数は約220、韓国は5社のみだとのことでした。
さらに驚くことは現存する世界一古い会社は日本の金剛組という神社・仏閣を扱う建設会社であり、創業は西暦578年、飛鳥時代の聖徳太子の頃なのだそうで、今まで1,400年以上の歴史があることになります。(尤も、他の資料によると、ここは宮大工の流れであり、株式会社となったのは1955年、さらに2006年にはこの会社は高松建設傘下の新・金剛組に営業譲渡されています。また、「会社」という概念がこんな昔からあった訳ではないので、本当に世界一古いかどうか問題ありといえそうですが・・)
そして、これら日本の老舗企業の多くから世界に誇る製品群が開発され商品化されているのだそうです。
今回のビデオで紹介された製品には、例えば、薄型テレビ用のガラス基板(旭硝子)、食用油を作る技術を応用して開発した洋服の静電気を抑えるための潤滑材(竹本油脂、創業1725年。食用油を作る技術を応用。世界の洋服の半分に使われている)、オーストラリアでこれまで時間のかかっていた羊の毛刈りをわずか3秒にした技術(ヒゲタ醤油、創業1616年。特殊タンパク質の開発)、廃車や廃棄携帯電話からプラチナ、金の回収(田中貴金属、創業1886年)、食品の鮮度を保つトレハロースを最初に開発(林原、1884年に水飴製造業として創業。世界7,000社、1万種類の商品に使用されている)、宇宙開発を支える世界最強のザイロン繊維(東洋紡績、創業1882年)などがありました。詳しく調べればもっともっと世界をリードする製品が老舗企業から生み出されていることでしょう。
これら老舗企業は必ずしも有名企業・大企業とは限っていません。日本企業の底力がうかがえそうです。
今回のビデオから教えられることは、老舗と言われる企業は“古さ”と“伝統”だけではなく、常に時代の先を読み、新しいものを生み出すために不断の改革をしている企業であり、だからこそ老舗として今に生き残っているのだということです。
“古さ”と“伝統”のみを重んじ、時代に即した改革が出来ず消え去った企業は無数あった筈です。今、生き延びている老舗は、花も嵐も踏み越えて常に新しく脱皮してきたからこそ老舗と言われ100年以上も存続し続けているといえましょう。
いつも時代に即して新しく脱皮しなければ伝統もただの過去と同じになってしまうのですから、永い時代を生き残る老舗は“老舗なるがゆえに新しい”と言っても過言ではなさそうです。
冒頭に記したように日本に老舗企業が多いことは、日本にとって明るい兆しといえるのではないでしょうか。
ところで、日本は“ものづくり”の国です。その“ものづくり”日本も最近では食品の賞味期限改ざん、リコール隠し、欠陥建物等々“ものづくり”の原点を忘れた企業も多々見受けられます。
日本中のすべての企業が百年、千年続く老舗を目指せば、不正もなくなり、時代と消費者に受け入れられ、明るい未来が約束されることでしょう。
(注)ビデオに登場した横沢利昌教授の本に『老舗企業の研究―100年企業に学ぶ伝統と革新(生産性出版刊)』があります。
河合将介(skawai@earthlink.net) |