「私は野球が好きになりました!」日本からのニュース・テレビで街頭の主婦とおぼしき女性がインタービューに答え、弾んだ声で叫んでいるのを見ました。
第一回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝戦で世界の強豪であるキューバチームを撃破し堂々のワールド・チャンピオンに輝いた日本チームに私も感激した一人でした。
アジア地区予選で韓国に次ぎ第2位となった日本チームはこちら米国へ渡り、それ以降の試合はアナハイム、サンディエゴといずれも私たちの住む南カリフォルニアで行われました。多くの在米日本人、日系人が応援に行きました。
私たち夫婦は球場まで足を運びませんでしたが、自宅でテレビならぬパソコンにしがみつき試合の経過に手に汗握る時間を過ごしました。
当地ロサンゼルスではWBCのテレビ実況中継はESPN(スポーツ専用有料テレビ)のみが行っていました。
我が家は有料テレビの契約はしておらず、通常の番組しか見ることが出来ないので、残念ながらテレビでの実況を見ることが出来ませんでした。その代わり、インターネットの速報で試合を見ていました。
ご存知と思いますが、コンピュータで「日刊スポーツ」紙を開き、WBC速報画面を開くと試合の映像こそ出ませんが、今の打者のボールカウントまで都度画面に表示され、試合の状況をリアルタイムに刻々と知ることが出来ました。
実際の球場での試合状況が映し出されるのではなく、また音声もなく、ただひたすら画面にリアルタイムの試合経過が表示されるで臨場感は皆無ですが、それがかえって自分たちだけの試合観戦になり、決して悪いものでもありませんでした。
結局、わが夫婦は対韓国戦(準決勝)、対キューバ戦(決勝)は試合開始から終了までトイレで席を外した(対韓国戦では加えて雨で中断した時間)以外はコンピュータの画面にはり付いていました。久々の感激でした。
米国の大リーグでは毎年アメリカンとナショナル両リーグの優勝チーム間で米国No.1(正確には大リーグにはカナダのチームも含まれるので米国・カナダNo1.)を決めます。
こちらではこの決勝戦を“ワールド・シリーズ”、そして優勝チームを“ワールド・チャンピオン”と呼びますが、これからはWBCに“ワールド・シリーズ”、と“ワールド・チャンピオン”の名称を譲って欲しいくらいです。
今回のWBCを通じて、「野球とはチームワークのスポーツだ」と痛感しました。米国代表チームは当然ながら全員が大リーガーの選手でした。日本チームはイチロー選手と大塚選手二人のみが大リーガー、キューバにいたっては大リーガー選手ゼロだったそうです。
年俸ウン百万ドルの選手を寄せ集めてれば勝てると思った米国はとんだ誤算だったと言えそうです。尤も米国の場合、日本、韓国、キューバなどと違い国をあげて熱を上げていたわけでなく、シーズンオフの余興程度の関心だったことも否めない事実でした。
今回、日本は韓国に1勝2敗、米国に0勝1敗と全体の勝率では決して1位ではありませんでした。日本チームの優勝はWBC運営方法が日本に有利だったとの指摘もあるようですが、これははじめから納得していた決まり(ルール)であり、日本の優勝はいかなる文句もつけられない立派な優勝であったと私は主張したく思います。
「私は野球が好きになりました!」ニュース・テレビで喜ぶ街頭の主婦の声が今回の日本チームの快挙に対する最高の祝辞だったと思います。
河合 将介(skawai@earthlink.net)
|