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NO.504                Ryo Onishi              1/8/2006   

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雑貨屋のひとり言

寒い日が続きます。家から見える六甲の山々は吹雪いているように見えます。寒さが緩むのが待ち遠しいです。猛暑であっても厳冬であってもエネルギーの消費が増えるので、地球温暖化が進むことになるのでしょうね。今年の夏は一体どうなるのかと考えてしまいます。(R.O.)

もったいある年に

  2006年の新春を迎えました。昨年一年間に巷間を賑わした新語・流行語から選ばれたユーキャン新語・流行語大賞(「現代用語基礎知識」選)は「小泉劇場」と「想定内(外)」でした。

 この他のトップテンに選出されたのは「クールビズ」、「刺客」、「ちょいモテオヤジ」、「フォーー」、「富裕層」、「ブログ」、「ボビーマジック」、「萌え〜」などでした。

この賞とは、過去一年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を「現代用語の基礎知識」読者のアンケートから、上位語がノミネート語として選出され、そこから審査委員会によってトップテン語、年間大賞語が選ばれるのだそうです。

ここに選ばれた言葉はまさに現在の日本の世相が表現されるもので、毎年の流行語を知ることにより、その年の日本と日本人を端的に知ることが出来、興味深いものです。

私のように日本を離れ海外で生活していると、必ずしもこれら流行語のすべてを理解できませんが、それだけに日本の一年を再認識させられる思いもします。

ところで私自身にとって、最も印象深かった昨年の流行語は『もったいない』でした。

アフリカの緑化運動家で、その前年のノーベル平和賞受賞者でもあったケニアのワンガリ・マータイ女史が昨年世界に紹介した日本語『もったいない』が大きな反響を呼びました。愛知万博(愛・地球博)でも小泉首相がこの言葉を開会式の挨拶に取り入れ国をあげて“もったいない”キャンペーンを展開しました。

昨年末の小泉内閣メールマガジン(第216号、2005/12/22)の中で環境大臣の小池百合子氏も"もったいない風呂敷(ふろしき)"を紹介し、この運動推進の先頭に立っていました。

小池大臣の説明文によると、買物で使われるレジ袋は1年間におよそ60万トンがごみになっているのだそうで、これらレジ袋や紙袋に代わるものとして、"もったいないふろしき"を考案したのだそうです。

日本古来の発想(もったいない)と文化(ふろしき)を結び付けるとは、小池大臣もなかなか粋(いき)なところがあります。

前記マータイさんは「もったいない」を Reduce(消費削減)、Reuse(再使用)、Recycle(資源再利用)、Repair(修理)の4Rで説明し、「限りある資源を有効に使い、みなで公平に分担すべきだ。そうすれば、資源をめぐる争いである戦争は起きない」と主張していました。

 日本語辞典によると、そもそも「もったい」とは「勿体」または「物体」と書き、「そのものが本来持っている価値」のことを言うようです。そしてその価値をまっとうできないで、中途半端にうち棄てられることを「もったいない」というのだと知りました。

 本来日本人は世の中のすべて、即ち森羅万象に神仏が宿り、故になにものも粗末にしてはならないという思想を持っています。『もったいない』は、そんな日本古来の思想の現われなので
はないでしょうか。

お米一粒にも無駄にしない思いが我々日本人にはありました。お釜やおひつの隅、駅弁の蓋に付いているご飯粒も粗末にしませんでした。これは決して吝嗇(けち)だからではなく、「もったいない心」のあらわれだったと思います。

私たちの先輩が残してくれた思想「もったいない」をもっと大切にしたいものです。私はこの「もったいない」をさらに一歩進めて、今年は「もったいある」一年にするよう心がけたいと思っています。             
                                       河合 将介(skawai@earthlink.net)

 
"もったいないふろしき"(環境大臣 小池百合子)

小泉内閣メールマガジン 第216号 =============== 2005/12/22-2006/01/05

 私はこのたび"もったいないふろしき"なるものを作りました。

 ふろしきはその名のとおり、室町時代に風呂で敷いた布に由来するそうで
す。古くは奈良時代から布で包む文化がありました。

 ふろしきは、包装紙やレジ袋と違って何度でも再利用できますし、破れに
くく、収納に場所をとらない、贈る人や季節によって好きな色柄が選べるな
ど、スグレものです。また、りんごでも、酒ビンでも、大きさや形を問わず
に包めます。これは物を大切にする日本の文化ですね。

 今、容器包装リサイクル法の改正に向けた議論が進む中で、レジ袋の扱い
が課題になっています。レジ袋は1年間におよそ60万トンがごみになって
います。また、容器包装全体の量では、容積で家庭ごみの6割を超えていま
す。

 そこで、私は、日本の伝統文化であったふろしきが、循環型社会を考える
きっかけになるのではないかと考え、レジ袋や紙袋に代わるものとして、
"もったいないふろしき"と名付けたふろしきを作ってみました。ペットボ
トルを再利用した布地に、江戸時代の画家、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)
の花鳥図をあしらったものです。

 循環型社会を築いていた江戸時代のふろしき文化を、日本だけでなく、ぜ
ひ世界にも広げていきたいと思います。

 新年の1月5日に東京日本橋の百貨店で、「もったいないふろしきトーク
ショー」が開催され、私も"もったいないふろしき"を手に参加させていた
だく予定です。お時間があればぜひお越しください。ぜひ皆さんもご自分の
"もったいないふろしき"をあらためて活用してみてください。

「もったいないふろしき」とは
 日本の伝統文化であったふろしきが循環型社会を考えるきっかけになるのではないかと考え、レジ袋や紙袋に代わるものとして、小池環境大臣が作成しました。ペットボトルを再利用した布地に、江戸時代の画家、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の花鳥図をあしらったものです。
 三越日本橋本店 本館7階催物会場で開催される「三越のふろしきコレクション」会場にて展示されます。
、レジ袋や紙袋に代わるふろしきの使い方をわかりやすく実演し、循環型社会をうったえます。

※ もったいないふろしきトークショー
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6661

さくらの独り言「 ステップ」

  初夢に「一富士、二鷹、三茄子(なすび)」が出ると縁起がいいというが、なかなか出てきてくれない。今年は、それどころか、初夢さえもみていない。いや、正確に云えば、夢をみたかどうかも覚えていない。これではあまりにも夢が無いようで、新年早々侘しさを感じる。「これじゃぁ、いかん」と独り呟きながら、「一年の計」まがいのテーマを考えてみた。そうだ、今年は“ステップ”だと、手を叩く。

親友M.Oさんは、毎年、新年に友情こもるメッセージを送ってくれる。それはさらりとした簡潔な文で、あたかも私の生活や人生の出来事を把握しているような深みがあるものだ。毎年送ってもらう、そのさらりとしたメッセージの中に、私への期待や祈りが散りばめられている。近年もらった中では、「無理をしないで、怠けない」とか、「健康、家族、仕事の順で」とか、「復活・飛躍」、「健康第一」、「笑顔が一番」とか。そして今年は「さくらさんは昨年ホップしました。今年はステップの年と認識しています」だった。素直に、この言葉、“もらった!”、と思った。今年46歳を迎えるにあたり、“ステップ”をテーマにしてみようかと、思っている。

「一年の計は元旦にあり」と云われて育った壮年層の日本人は多いだろう。まさに私も、そう育った。元旦に、家(庭)のしきたりや慣わしに従い、年功序列で御屠蘇を頂きながら、新年のご挨拶を交わす。その時、家長である父から「今年の計は」と志を聞かれ、飲み干したお屠蘇杯を置きながら、昨年の計の評価と新年の新たな計を述べさせられていた。計を述べた後に渡される干し柿を食べながら、その中の種の数が、今年の計を全うするための苦労の数だといい、家族一人ひとりが自分の種の数も見せあった。同じ時に渡されるのが、お年玉だった。封筒の中身は、年功序列に格差があり、末っ子の私は最後まで早く妹か弟が欲しいと、新年の計ならず祈りを捧げたものだ。そもそも「一年の計」は、一日の計、一年の計、一生の計、一家の計という四計のひとつである。元旦にそれぞれの一年の計を述べさせられていた家庭慣習や行事の中に、この四計が集約されていたのだと、我ながら、そして今更ながら、感心する。

私の友人で几帳面な人たちは、元旦に「一年の計」を詩(うた)風にして短冊に書き床の間に飾る人、To Do Listや達成目標風に箇条書きに書き披露する人がいる。1998年12月27日発行の雑貨屋137号さくらの独り言「遺書」でも紹介したが、私は二十歳の頃から、元旦に「一年の計」に代わる「遺書」を書いていた。しかし今年からそれをやめ、「一年の計」としてのテーマを持つことに代えた。それが、“ステップ”だ。仕事も、生活も、人生も、健康も年齢も、役割や責任も、ライフサイクルから考えるとまさに“ステップ”、次の段階としての集約、それはある意味、次のジャンプへの準備の時でもあり、まさしく戌年に相応しい「収穫」がテーマかもしれないと思う。お年寄りや身体の不自由な人のための“ノンステップ”都営バスに乗る直前、運転手に「すみません、リバーシティは停まりますか」と訊ねて笑われたことがある。ノンステップをノンストップと読み間違えたドジな私、日本に帰国して間もないことだったと記憶する。今年は日本帰国6年目、ノンステップもノンストップも無く、時には立ち止まりながら、しかし確実な“ステップ”を踏んで生きたいものだ。そういえば、昔、「ホップ、ステップ、ジャンプ」なんていう歌があったな・・・っと呟く、さくらの独り言。

川柳 & コント(東京・成近)


( 川 柳 )

ドングリの一つ背伸びをして転げ

学歴のハンデを埋めた汗の意地

ぶつかった壁に初心と書いてある

カラットの石に沢庵石の意地

超豪華時計も同じ時 刻み

( ニュースやぶにらみ )

「我輩は猫である」
ネコ年がないのが不満である −苦沙弥先生

「豪雪禍」
トンネルを抜けて東京へ行きたくなった −「雪国」の駒子

「城取り物語」
9月まで長期公演 −小泉劇場

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

連載「夫と私 」  
                 生きていてよかった ! (14)
  予定されていた癌治療をすべて終えた夫は、少しずつ元気になってきた。
 夫がリタイヤした八年前、自分の居場所として作った「チャーリー工房」で、クリスマス・プレゼントにするといって額作りをはじめた。チャーリーとは夫のミドル・ネームである。クリスチャンではないけれど、夫は、ラファエロの描いた聖母子画がことのほか好きだった。絵葉書大の聖母子の絵を買い求め額に入れる。額は手作りである。壊れた電気製品を分解し、コイルやネジなどを規格ごとに分類と取り外す。壊れ物の修理をする。野菜クズを溜めて堆肥を作る。プランターに花を植える。
「おーい、『ヘッセ・タイム』だぞ ! 」
 ドイツの文豪へルマン・ヘッセは、人生の後半、執筆に費やす以外はスイスのルガーノ湖畔を見下ろせる丘の家で庭仕事を愉しんだ。そんな由来にもとづいて作った夫と私の「庭仕事をしよう」という合言葉である。もとより夫に以前のような体力はない。芝刈だけでもガーディナーに頼もうといえば、
「いや、まだできる」
 と、がんばろうとする。
だが、芝刈機のエンジンはかけるが、刈るのは私である。庭木を二、三本も剪定すれば「ダメだ、限界」といって、ベッドへひっくりかえった。
 八月二十五日午後のことだった。
「開いた ! 喉が開いたぞ ! 」
 突然、夫が歓声をあげた。
流動食を腹につけたチューブに入れていた夫が、唾液が飲み込めたという。時計を見ると午後三時五分を少し過ぎていた。記念すべき時だ。試しに夫はミルクを飲み、Gチューブから吸い出すと白い液体が出てきた。間違いない。喉が開いたのだ。ラーメンの汁は喉のすべりがいいから飲んでみるという。私は作った。夫は半カップほどの汁を一気に飲んだ。
「うまい ! 生きていてよかった ! 」
 声に嬉しさがほとばしっていた。
 私は、サンフランシスコの娘や日本の親戚に電話をし、友人にEメールを打ちまくった。
 九月初旬の午後、夫の運転で三ヶ月ぶりパロス・ベルデス半島をまわるドライブに出かけた。水平線上にサンタ・カタリーナ島の細長い紺色の稜線がうっすらと浮かんでいる。切り立った崖下から太平洋の潮風が吹き上げ、頬を打つ。赤いブーゲンベリアの花が揺れている。私たちは造成中のゴフル場の脇を通り、海辺に沿った小道を歩いた。クラブ・ハウスのレストランを覗くと、開店を待つばかりになっていた。
「快気祝いはここがいいわ、ここでしましょう」
「ああ、食えるようになったらな」
 夫が答えた。
「大丈夫よ、もう少しの辛抱だわ」
 不安はある。しかし、難関を越えた。治るのだと思うと喜びがこみ上げてきた。

 九月二十六日、 CTスキャンを撮った。
 転移なし。肺の癌は五センチから三センチに縮小していた。口から流動食が入るようになった。検診に行くと化学療法医は、こういった。
「食道のパイオブシーをして癌因子がなければ癌治療は終了。後は定期検診をするだけです。Good luck  ! 」
                                            つづく

 

編集後記

今週もあっという間の一週間で気がついたら日曜日です。明日は休日なのでのんびりした発行になってしまいました。
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Zakkaya Weekly No.504

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com