新聞記事(羅府新報Mar.9,’05)によると、人間は笑うと血管が広がり血液の流れがよくなることがわかったと、米国メリーランド大学の研究チームが先ほど発表したそうです。そしてこの研究チームは「週3回の運動と毎日15分の笑いを」と勧めているそうです。
健康な男女20人にお笑い映画と戦争映画を見せ、それぞれの映画の前後に超音波で血流を測定したところ、お笑い映画を見た後では20人中19人の血流が平均で22%増えていたが、戦争映画の後では逆に14人の血流が平均35%減っていたそうです。
これまでにも、笑いは「免疫を高める」、「ストレス関連物質を減らす」などの効果が知られていましたが、血流への好影響についても解明されたことになります。
「笑い」にとって欠かせない要因の一つは「ユーモア・センス」です。一般にアメリカ人にとって「ユーモア・センス」 とは、その人の人格をあらわす重要な要因の一つとなっています。彼らは会話やスピーチの中で、いかにセンスに富んだジョークを披露するかを競い合っています。
「個人主義」や「合理主義」が中心のアメリカでは、対人関係において単なる潤滑油に過ぎないユーモアやジョークはあまり重視されないように思われがちですが、実は多数の中で個人の存在を印象付け、相手を引き付けるという意味では、ユーモア・センスこそ「個人主義の象徴」と言えるのかもしれません。
それにひきかえ、一般に日本人はユーモアを軽んずる傾向があり、特に仕事中では気のきいた冗談でさえ不謹慎とされることがしばしばです。日本にもユーモア・笑いの文化は古くから存在していますが、それは寄席やテレビから“与えてもらう”ものであり、一人一人がセンスを磨き身に付けるという意識は希薄です。我々はもっとユーモア・センスを磨き「笑い」を取り戻すことを考える必要があるのではないでしょうか。
「笑い」はただ待っていてもやって来ません。こちらから積極的に出向いて行くことが必要です。
私は「前向き人生は洒落たユーモアから」を人生のモットーの一つにしています。対人関係で「洒落た会話」を楽しめば、「ユーモア、笑い」が自然に生まれ、それが「前向きで心豊かな人生」につながると思っているからです。
現代はストレス過多の時代であり、私達はどうしても心がきしみ、ゆとりを失い、苛立つ毎日になりがちです。そこで せめて、きしんだ心へ 一滴・二滴の潤滑油を流し込んであげよう ―― その潤滑油こそ明るい「ユーモア、笑い」 であり、「洒落た会話」 はその強力なサポーターになるのです。
尤も、ストレスといってもすべてが“悪”ではない筈で、私はストレスを「善玉ストレス」と「悪玉ストレス」に区別しています。若さあふれた青春時代、何にでも果敢に挑戦し、心ときめく思いで前進する興奮はまさに「善玉ストレス」でした。シニア世代を迎えて「やすらぎ」という名の安定を得ても、必ずしも心が晴れない場合が多いのは「善玉ストレス不足」だからではないでしょうか。
「笑い」が免疫力を高めるだけでなく、血管を広げ血流を高める好作用があることが解明されたのなら、私は「善玉ストレス」も「笑い」と同じく百薬の長の効果があることを証明してみたくなりました。
河合将介( skawai@earthlink.net
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