映画『ターミネーター』シリーズなどで日本でも有名な映画俳優“シュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガー氏)”が昨年10月に米国カリフォルニア州知事に当選し、一年が過ぎました。そのシュワルツェネッガー氏が知事として、11月10日から4日間日本を訪問しました。
日本滞在中はや日本の政財界トップと会談しただけでなく、トヨタ自動車、ソニーを訪問したり、カリフォルニア州の観光地や農産物を紹介するイベントに参加するなど、政治家シュワルツェネッガーとして精力的に日程をこなし、日本とカリフォルニア州との間の親善、貿易促進、観光客誘致などがで大いに成果をあげたようです。
現在、カリフォルニア州は膨大な財政赤字を抱え厳しい状況下にあります。シュワルツェネッガー氏が前知事のリコール成立にともない、昨年知事選に立候補・当選したのも州の財政立て直しを期待されてのことです。
彼は就任後の一年間、知事として積極的に動き、州民からは比較的高い評価を得ています。民主党の強力な地盤であるカリフォルニア州(今回の大統領選挙でも民主党が勝利しました)でありながら共和党に所属するシュワルツェネッガー知事ですが、今のところ州民からの評価は高く、財政再建をはじめとする諸施策が着々と成果を出し始めており、彼の持つ「底力」が、地元で改めて見直されています。
現に、今回の大統領選挙と同時に実施された『カリフォルニア州住民提案に対する賛否投票』でもシュワルツェネッガー知事が賛否の意思表明をした10件について、9件までが知事の意思表明通りになりました。(知事が9勝1敗)
中でも「三振即アウト法に関する住民提案」は、10月の世論調査段階では賛成意見が大勢で成立間違いなしと言われていたのに、投票日の直前シュワルツェネッガー知事が反対を表明、その結果、反対53%、賛成47%で逆転し、否決されたほどです。
【注】「三振即アウト法」とは先週のこの欄(「カリフォルニア住民提案投票」)でご説明した通りで、州内の犯罪抑制のため1994年に施行されたものです。これは犯罪に対し厳罰で臨もうとする法律です。それを今回、もう少し緩やかなものに改めようとする提案が出されたのですが、知事が「犯罪抑制の効果がなくなる」と反対を表明し結果、提案は否決されました。
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今回の大統領選挙でもブッシュ候補(共和党)を積極的に応援・貢献し、再選を果たしたブッシュ大統領に大きな“貸し”を作ったとさえ言われています。
おかげで彼はケネディ家(民主党)出身の奥さんのご機嫌を損じてしまったようで、ある政治討論会の席上、「あなたは共和党のブッシュ候補を応援していたけれど、奥さんはに反対されなかったのですか?」との質問に対し、シュワルツェネッガー氏は、「Well, there was no sex for 14 days.(14日間も妻とのセックスがありませんでした)」と告白し、会場の爆笑を誘った話は有名です。
それだけにブッシュ大統領にも影響力を行使できるシュワルツェネッガー知事としてカリフォルニア州民の期待は大きいものがあるようです。
ハリウッド映画俳優から政治の世界に入った先輩としては、今春亡くなった故ロナルド・レーガン氏(カリフォルニア州知事、合衆国第40代大統領)がいますが、もしかしたら“シュワちゃん”もレーガン氏と同じ道(アメリカ合衆国大統領)を考えているのかもしれません。
尤も現行の合衆国憲法では、大統領は米国生まれの市民に限られているため(合衆国憲法第二条)、オーストリア生まれの彼は大統領にはなれませんが、しかしこの障害を取り除くための憲法改正案も連邦議会で審議がはじまっており、将来、シュワルツェネッガー大統領が誕生する可能性はゼロではありません。
大統領への道はともかくとして、州知事になる前には既に20回以上も訪日して、日本に知人の多い“シュワちゃん”(シュワルツェネッガー知事)が日本とカリフォルニア州とのより緊密な親善・交流促進のため、大いに頑張って欲しいと願っています。
河合将介(
skawai@earthlink.net )
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