日本ではお盆の迎え火の日に、ギリシャでは108年ぶりに里帰りした聖火が、202の国・地域から集まった15,000人の選手団と70,000人の大観衆で埋め尽くされたメイン・スタジアムの夜空に明々と燈された。アテネオリンピックの開幕である。第二日目となる翌日、東京ではメダル獲得の前祝いかのように、大小15000発の火の華が空と海に咲いた(東京大華火大会)。柔道の谷亮子選手と野村忠宏選手が日本選手団の先陣を切って日の丸を掲げたのは、それから数時間後のこと。表彰台の勝者の笑顔もさることながら、月桂樹の葉の冠がいかにもギリシャにふさわしく、古代オリンピックへいざなってくれる。このアテネ五輪を飾るマラソン男子優勝者には、「世界最古」といわれるオリーブの木の枝で作った冠が贈られることになっているというから、これまた楽しみだ。
古代オリンピック(競技祭)で、勝者の頭上はオリーブの若枝で編んだ冠で飾られたことは有名だ。栄誉をかけて戦った勝者は、金品ではなくオリーブの冠だけを求め、そして得たのだ。それは古代ギリシャ人にとってオリーブの若枝が神聖なる捧げものであったから。それらの冠はクレタ島で作られていた。今回のマラソン男子優勝者にはそのクレタ島西部コリンバリの最古のオリーブの木から、女子優勝者には同じクレタ島東部のイエラペトラにある古いオリーブの木から、その枝で作られた冠がそれぞれ贈られる。まさに、過去と未来の歴史で編まれた冠だと思う。
ところで、オリンピックといえば、筑波大学の通年講座のひとつに「オリンピックの帰還」がある。この講義の目的は、オリンピックを競技面ばかりではなく、歴史、芸術、教育など多様な文化的側面から理解することだという。先日、この受講生201人が受験したテストの問題の抜粋(解答と正解率も含む)がオリンピック・ムーブメント研究室のWeb上で公開されていたので、ここに紹介する。あなたはどれくらい答えられるかな、と・・・
(1)古代オリンピックで勝者に授与された賞は何の葉冠?
@オリーブ、A月桂樹、Bパセリ、C松 (正解@ 正解率71.6%)
(2)今日にも受け継がれている「エケケイリア」の日本語名は?
@選手宣誓、A開会宣言、B聖火リレー、C聖なる休戦 (正解C 86.5%%)
(3)今夏のアテネ大会でオリンピアの競技場で行われる種目は?
@走り幅跳び、A砲丸投げ、B円盤投げ、C短距離走 (正解A 46.3%)
(4)今回の聖火リレー、東京の次はどこの都市に行った?
@北京、Aシドニー、Bソウル、Cメルボルン (正解B 54.7%)
(5)次のうち、オリンピック種目になったことがあるものは?
@ パン食い競走、A綱引き、B大玉送り、C借り物競走 (正解A 92.5%)
(6)初めて女性の参加が認められた大会は?
@ 代オリンピックから、A1896年第1回アテネ大会、B1900年パリ大会、
C1904年セントルイス大会 (正解B 74.1%)
(7)次の中で女子のオリンピック種目ではないものは?
@ ボクシング、Aレスリング、Bフェンシング、Cトライアスロン(正解@94.0%)
(8)次のうち、開催が中止されていない大会は?
@ 1980年モスクワ大会、A1944年ロンドン大会、B1940年東京大会、
C 1916年ベルリン大会 (正解@ 60.2%)
(9)現在のパラリンピックの“パラ”とは何に由来しているか?
@パラソル、Aパラプレジア、Bパラシュート、Cパラレル (正解C 40.3%)
(10)オリンピックの「芸術競技」でメダルを獲得した日本人は?
@ 鈴木朱雀、A東山魁夷、B棟方志功、C平山郁夫 (正解@ 24.9%)
(11)クーベルタンがオリンピックを通して目指したものは?
@ 勝利至上主義の強調、A商業主義の推進、Bアマチュアリズムの確立、
C スポーツの教育効果による社会変革 (正解C 91.5%)
(12)古代オリンピックでは女性は出場できなかったが、優勝者名簿に載っている女性の種目は?
@戦車競走、A競走、B芸術競技、C舞踊 (正解@ 35.8%)
オリーブは、ギリシャ人にとって必需品だ。食用のみならず、神聖なる個と神の証でもある。オリンピック発祥の地における開催を機に、その源流に触れ、オリーブの実でもかじりながら神の話に心を傾けるのもいいかもしれない。世界最古のオリーブの木枝で編まれた冠が捧げられる最終日まで・・・とつぶやくさくらの独り言。
(kukimi@ff.iij4u.or.jp) |