龍翁余話(638)「暗雲立ち込める尖閣諸島」
政府は、去る7月14日に「2020年版 防衛白書」を発表した。翁、毎年、「防衛白書」の概要に目を通しているが、今年の白書で最も注目したのは「世界各国が新型コロナウイルスの感染対応に追われている最中、中国はその間隙を縫って国際的な影響力の拡大を図っている」ことに警鐘を鳴らしている点だ。具体例としては南シナ海や東シナ海において、中国は(自分勝手な屁理屈を言い並べて)自国に有利な国際秩序・地域秩序を作り上げようと躍起になっている。つまり歴史的国際秩序を無視して現状変更を行なおうとしているのだ。翁は言う「これは、まさに“火事場ドロボー的覇権拡大戦略”だ。国際法も国際常識もわきまえない習近平という男の飽く無き覇権夢想シナリオの展開である」――
「2020年版 防衛白書」の中で、翁が特に注目したのは(やはり)“中国の尖閣諸島周辺海域の揺さぶり”である。白書は尖閣諸島周辺における中国海警局公船の長期徘徊や領海侵入、日本漁船の追尾を「(中国は)一方的な現状変更を目論み、その愚行を執拗に展開しており、日本としてはこれを容認出来るものではない」と批判している。その通りだが翁は「たったそれだけの論評か?」と言いたい。日本政府は、いつも「看過出来ない」、「容認出来ない」、「遺憾に思う」が決まり文句。これでは相手(敵国)にはいささかもインパクト(心理的衝撃)を与えられない。日本政府は“安全保障上の脅威”に対して、もっと踏み込んだ“対抗策”を論ずるべきだ。思い起こせ、2008年12月に中国公船が我が国の領海(尖閣諸島周辺海域)に侵入して以来、引っ切り無しに中国船が尖閣諸島周辺海域を徘徊し続けている。翁、その薄汚い動きを“ドブネズミが如し”と言っている。2010年9月に尖閣諸島中国漁船(実は中国政府が金で雇い漁船に見立てた船)が海上保安庁の巡視船を目掛けて体当たりした故意衝突事件の記憶はまだ新しい。習近平が2012年に中国共産党総書記に、更に2013年に国家主席となって以来、東シナ海(尖閣諸島)をはじめ海洋立国日本を取り囲む海は荒波が立ちっ放しだ。しかも中国は核搭載が可能なミサイルを日本に向けている。その事実を(政府は)もっと声を大にして日本国民及び世界に周知させるべきだ。聞けば「防衛白書」は従来方針から逸脱しないことを前提で作成されているそうだが、日本が大人しく上品に構えている間、中国はなりふり構わず尖閣諸島奪取戦略(ドブネズミ作戦)を強引に推し進めているではないか。翁は吼える「尖閣諸島はすでに暗雲が立ち込めている。その暗雲を払い除ける強力な戦略(政策)を発表すべきではないか。このままでは“日本は紳士の国(弱腰の国)”のレッテルを張られっ放し。中国を刺激しないようにという不必要な遠慮は避け「防衛白書」の中に“脅威”を明記し、防衛力整備の必要性を広く国民に訴えよ」――日本のミサイル防衛問題で某記者が「中国や韓国の理解が得られる状況ではないのでは」の愚問に対し、河野防衛相は語気を強めて言った「中国がミサイルを増強している時、何故、中国の理解を得なければならないのか」――
その通りである。愚問を呈した記者はどこの社の記者?想像はつくが・・・
さて“コロナ禍”の中、翁『領土・主権展示館』(東京・虎ノ門三井ビル)を見学した。こじんまりしているが「北方4島」「竹島」「尖閣諸島」が歴史的にも国際法上でも日本固有の領土であることの根拠が説明パネルや証拠資料、映像などで丁寧に解説されている。
日本国民、特に若者必見の“歴史資料館”であることを痛感する。そこで、「北方4島」「竹島」については、いずれかの機会に紹介するとして、今号は「尖閣諸島は日本固有の領土である証拠」にスポットを当てることにする。
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『尖閣諸島』には「魚釣島」(写真左)ほか「北小島」「南小島」「久場島」「沖の北岩」「沖の南岩」「飛瀬」の島々が存在する。1885年(明治18年)に内務卿(内務大臣)山縣有朋は沖縄県(知事)に対し魚釣島周辺の調査を命じた。その後、明治政府は調査を継続、これらの島々が支那(中国)や台湾とは無縁の島嶼であることを確認し“日本領”として魚釣りに標柱を建てた(写真右)。これは「先占の法理」と言って国際法上正当とされるものである。なお『尖閣諸島』の名称は1900年(明治33年)に魚釣島諸島を調査した沖縄師範学校教師・黒岩恒が命名したもので、今は無人島だが明治30年代から昭和15年までは日本人が住んでいた(写真左)。彼らは「魚釣島」の鰹節工場で働き「久場島」ではアホウドリなど海鳥を捕獲して商いをしていた。
1919年(大正8年)に中華民国(現在の中国)福建省の漁民31人が尖閣諸島海域で遭難、遭難者全員を魚釣島住民が救助した。当時の中華民国駐長崎領事は、沖縄県八重山郡石垣村(現在の石垣市)の村長に“感謝状”を贈った(写真右)。その感謝状の文面に「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」と明記している。つまり、中華民国(中国)は、尖閣諸島を日本領土と認めていたのである。だが、習近平はその史実を無視、彼の執拗な“ドブネズミ作戦”をまだ続けるだろう。ならば日本政府よ『尖閣諸島防衛』のためにいっそう鉄壁な守りを固め、風雲を払い除けようではないか・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。 |