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1160号

NO.1160     Ryo Onishi              8/5/2018

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雑貨屋のひとり言

昨夜、偶然NHKの"逆転人生"という番組を観ました。逆転人生の主人公はサウスベイにいた方ならだれでも知っている方でした。私がロスに駐在していたころにお会いしたことがあります。全米一嫌いな食べ物だった豆腐を人気の食べ物にした"Mr.豆腐"と呼ばれる雲田康夫さんの苦悩と逆転するまでが紹介されていました。悪戦苦闘の連続でしたが1993年、当時クリントン大統領の妻ヒラリー・クリントン夫人が、ある番組で話した豆腐の話をきっかけに豆腐に注目が集まりはじめ、以後全米から注文が殺到するようになったそうです。とても楽しく観させていただきました。≪R.O≫

 

 戦争は始まっている

私は当地ロサンゼルスを中心とする日系バイリンガル新聞である羅府新報の『磁針』欄に、ほぼ月一度寄稿をしています。ここで磁針寄稿250回を迎え、これまでの寄稿文を整理しています。

ほとんどの文章は当、雑貨屋ウイークリーに投稿しているコメントですが、『磁針』のほうはロサンゼルスを中心に滞在している日本人や日系人を対象にしており、また紙面の都合上、文字数に制限があり(860文字)、雑貨屋用とは若干ニュアンスが異なった書き方、内容になっています。

そこで過去の磁針寄稿文をここにも連載させていただき、ご参考に供します。

『 戦争は始まっている 』(羅府新報掲載)
先日(1月17日)、我々夫婦は車でサン・ディエゴへ出かけた。風光明媚なこの地はまた、米国西海岸最大の海軍と海兵隊の基地でもあり、太平洋艦隊の本部が置かれているところでもある。

我々が昼過ぎに港が一望できる、カブリヨ公園に到着した時、ビジター・センターのアナウンスにより、展望台下を「パール・ハーバー」というLSD(軍用揚陸艦)が中東ペルシャ湾に向け出航し、通過していることを知った。

すぐ眼下を先導船と数艘の小船群にとり囲まれた大きな灰色の軍艦が港内から外海に向ってゆっくりと航行しているところだった。

数十人の見物人の群れから少し離れたところに水玉模様のスカート姿の若い女性が一人立っていた。

彼女はハイヒールの靴を脱ぎ捨て、ストッキングの足のまゝ展望台の縁に登り、また時には地面に降り、前を通過している艦に向って、手を思いきり高くかざして振り続けているのだ。

この日だけでも、この軍港から艦艇7艘と海兵隊員一万人がペルシャ湾に向け出航したそうだ。

彼女は多分、愛する夫か恋人の出征を見送りに来たのだろう。愛する人が乗船している艦が真下を通過している時はもちろん、艦が米粒ほどの大きさになっても手を振り続けていた。

彼女が左手に握りしめていたハンカチが印象的だった。きっと、艦上でも彼女を想いながら手を振っていた人がいたに違いない。

彼女は30分以上も振り続けていただろうか。手を振っている間、一切無言だった。しかし、心の中の悲痛な叫び声は我々にもじゅうぶん聞こえた。―― “死なないで!、お願い、無事帰ってきて!”

 レジャー・ボートやヨットを操り、平和を満喫している若者達で賑わう同じハーバーの中を、戦うために兵士や資材を乗せて粛々と進む軍用艦の姿。そしていつまでも手を振っている若い女性。これをどう見たら良いのだろう。

帰りの車の中で、私の妻が独り言のようにつぶやくのが聞こえた。「この国と、この国の人にとって、戦争は既に始まっているのね!」


河合 将介( skawai@earthlink.net )

 

    

川柳(東京・成近)

 


( 川 柳 )


その昔確かに笑窪だったはず

恋一途射止めた彼がこの亭主

この歳でじいちゃんはまだサユリスト

惚けてきたけれど足腰まだ丈夫

お互いがつっかい棒でいて夫婦



( ニュースひとりよがり )


「女子受験生に一律減点」
東京医大に負けそう −奈良判定

「築地―豊洲間約4キロ」
遠回りをしちゃったー小池都知事

「大接近で観測」
地球がこんなに荒れているとは −火星人


河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

龍翁余話

龍翁余話(536)「山の魅力」

8月11日は「山の日」。2014年に制定(2016年に改正)された祝日。山に関する特別な出来事などの由来があるわけではない。「海の日」(1995年制定、7月第3月曜日)があるから「山の日」があってもよかろう、というていどの理由で制定された、と聞く。趣旨は、
「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」とあるが、翁は加えて「山でのマナーと事故防止を考える日」としたい。

タイトルに「山の魅力」と謳えば、翁がいかにも山に詳しく、登山愛好家のように思われるかも知れないが、実のところ、翁ほど山の知識が無く、登山経験もない人間は、そう多くはいないだろう。登山ではなく“車で行けるところまで行った”山と言えば「高千穂峰」(鹿児島県と宮崎県の県境に位置する成層火山・標高1,573m)、「阿蘇山」(熊本県阿蘇地方に位置する活火山・標高1,592m)の中央火山口丘にある「草千里」(くさせんり、標高1,100m)と北外輪山の最高峰「大観峰」(だいかんぼう、標高939m)、「英彦山」(ひこさん、耶馬日田英彦山国定公園)北岳、中岳、南岳のどれだったか覚えていない。「釈迦岳」(しゃかがだけ、大分県日田市と福岡県八女市にまたがる標高1,231m)、「六甲山」(神戸市の西から北にかけての山塊、標高931m)、「吾妻山」(山形県と福島県の県境に沿って延びる山脈、標高約2,000m)・・・これらはいずれも“車登山”だが、翁、1回だけ自分の足で山を歩いた(ハイキングした)ことがある。あれは2007年12月中旬、東京都八王子市にある「高尾山」(標高599m)の南側に位置する「草戸山」(くさとやま、標高364m)。このことは、『龍翁余話』の執筆開始から間もない2007年12月22日配信の『龍翁余話』(15)「草戸山ハイキング」に書いた。その一部を抜粋する。
【・・・草戸山登山口から緩やかな上り坂を100mも行かないうちに呼吸と足元が乱れる。翁をハイキングに誘ってくれた友人のI君が、近くに落ちていた枯れ竹を拾って“杖代わり”にと(翁に)渡してくれた。これは大助かり。10数人の(I君の)グループは軽い足取りで、もうとっくに見えなくなっていたが、I君は翁ののろまな歩調に合わせてくれた。後ろから登ってきた他のパーティ(数組)に何回も道を譲った。“老人グループ”もいたが、みな健脚だ。追い越す人たちと交わす「おはようございます」「お気をつけて」の挨拶が心地いい。少しずつ足が慣れてきた。スピードは上がらなかったが、I君との会話が弾み、周辺の景色も目に入るようになった。草戸峠から左下に見る城山湖が幻想的だった。翁と(付き添ってくれた)I君の2人は目的地の三沢峠に3時間もかかってやっと到着。(皆は2時間)、皆がこしらえてくれていた豚汁やオニギリ、漬物の美味しかったこと。腹ごしらえをして近くを散策、少し霧がかかった眼下の津久井湖の美しさに息を呑んだ・・・】

登山でもなく、単なる山歩きだったが「山の魅力」を存分に味わうことが出来た「草戸山ハイキング」だった。幻想的な城山湖、秋いっぱいの三沢峠、水墨画のような津久井湖などが翁のカメラに収まり脳裡に深く刻まれた。そして何より、I君グループとの温かい交流が楽しかった。皆の足を引っ張ったにもかかわらず「次回の山歩きも、ご一緒しましょうよ」と誘ってくれた彼らの優しさが嬉しかった。残念なことに、その後、翁は次々と(3つの)癌に罹り、度重なる手術で(山歩きをするほどの)体力を失った。だが、どういう訳か、それからは“イメージ・トレッキング”(心象山歩き)が好きになった。初めての山歩き「草戸山ハイキング」の楽しかった思い出に起因すること大であるが、加えて数回の入院中に(数冊)読んだ(山岳推理作家)梓 林太郎の小説が「山の魅力」を更に膨らませ“心象山歩き”に誘ってくれるようになったのかも知れない。

それからというもの、翁は“山”が描かれた旅雑誌や山岳雑誌を読む(見る)ようになり、テレビでも“山”がテーマの番組を好んで視るようになった。中でもNHKの『グレートトラバース 日本百名山シリーズ』(今年はすでに三百名山)が好きだ。(宣伝臭くなるが)『グレートトラバース』とは、日本の名山全ての頂上を踏破し、その間、一切の交通機関を使わず自分の足と2本のステッキ、背中には(簡易テント・衣類・薬品類・携帯食品・飲料水などが入っている)大きなリュックサックを背負い、ある程度の時間を決めて黙々と頂上を目指して歩き続ける。その登山家の名は田中陽希(たなかようき、35歳、プロアドベンチャーレーサー)。寡黙で無愛想で、タレント性には乏しいが、逆にその素朴な彼の人柄が山に対する親愛の情、自然への畏敬の雰囲気を醸し出し、映像に重みを加えている。

その映像を撮っていくスタッフたちもまた、山のベテラン(愛好家)ばかり。翁の(かつての)職業柄、画面には映らないが、画面づくりの撮影隊の動きが、どうしても気になる。まず、ディレクター、翁がかつてドキュメンタリーを撮っていた時は、出演者やカメラマンに(翁が好む)場所・アングル・サイズ・演技・カメラの動き・秒数などを演出したが、この『グレートトラバース』のディレクターは、原則的には演出を加えず、ただ、ひたすら田中を追い続け、時々、田中からの相談に乗る程度。カメラマン(2人)もまた、田中の歩きを、表情を、周辺の景色を、己れの感性と熟練の技術で撮影することに徹している。カメラアシスタント(2人)は撮影機材(三脚、小型照明機、音声機など)のほか、飲料水・スナック・着替え・薬品などをリュックサックに背負ってカメラマンたちをアシストする。ほかに医療チーム・撮影隊用の車両チームなどが、本撮影隊をサポートする。翁は、この番組が伝えてくれる「山の魅力」もさることながら撮影隊のチームワーク、卓抜なカメラ技術力・豊かな感性に触れるのも楽しみだ。田中以下全スタッフの安全・健康を祈りながら『グレートトラバース』を視ている。

安全・健康と言えば、この酷暑下「夏の甲子園」の球児・応援隊の“熱中症”も気になる。そしてもう1つ――絶対に忘れてならないのが8月は「鎮魂の月」、戦地・内地全ての戦没者、原爆犠牲者のご冥福と“平和”を祈りたい・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

 

茶子のスパイス研究

手作り

先日、Clientさんの行きつけの美容室に行ったら店に飾られているペーパークラフトを見て七夕を思い出した。“何だか日本の七夕祭りを思い出させますね”と言ったら日本の人が作って持ってきてくれたと言った。昔から日本人は器用で折り紙も今は世界でオリガミと呼ばれるくらい知名度がある。昔の人は捨ててしまうような端切れの布や木材を工夫して何か他のものを作って再生させてしまう技が普通の暮らしにあった。それに昔の日本人は、もったいないというのが口癖で何度も日系2世アメリカ人の口から度々その言葉を聞いた。
ご近所さんで先週、自宅の庭で作っているという新鮮な小松菜を頂いた。お庭を見せてもらったらパティオや池も自分で全部作ったと説明してくれた。庭の入り口にある灯籠も切株で作ったのだそうで夕方になると電気が付く仕掛けになっているらしい。

スカートの丈詰め ストラップ携帯 ルームデコレーション 灯篭切株

1960年頃に米国にやってきてパロスバーデスのお客さんを相手に庭師の仕事をしながら子供を育て生活してきたのだそうだ。今は引退して自分の家の庭や松の木の手入れや家庭菜園ぐらいしかやらないそうだ。
また、他のClientさんで4人の娘さんを育て上げた日系2世アメリカ人の人がいる。私が何年も前に購入した夏のスカートの丈が長くていまだにそのままハンガーに吊るしてあると言うと“遠慮しないで持ってきなさい。私は暇人なんだから。それに私は4人の娘の服を全部作ってきたのよ。”と言うのでそのお言葉に甘えてスカートを持参した。昔はどこの家庭でもミシンはあったし母も時々私の服を縫ってくれた。デパートで服を買うというのはとても高額でそうそう買える時代ではなかったようだ。
お礼にきんぴらごぼうが好きだと言うので作って持っていったら、とても喜んでくれた。
先々週、他のClientさんと外でお茶をしていたら、その方の友人に会った。“あら、OOさん久しぶりね。どうしているの?”とお互いに連れ添った旦那様がいなくなって気使っている様子だった。ふと私の方を見るとその人はバックの中から携帯ストラップを出して私にくれた。“時間があると、こんなものを作っては人にあげているのよ。良かったらもらってくれる?”そう言って私とそのClientさんに手作りの携帯ストラップをくださった。今までも何回か日系2世のアメリカ人の人から手作りのものを頂いた事がある。
こういう瞬間は本当に心が温かく嬉しくなる。再来週は籠あみに凝っている友人がユタから遊びに来る。いつも何か籠あみのものをくださる。やっぱり人の手が入ると何かそこにその人の存在感を感じる。そういうぬくもりを大切にしたいと思う今日この頃、、、、、

茶子 スパイス研究家

 

さくらの独り言

今週はお休みです。

 

ジャズライフ−今週のお奨めアルバム

イタリアのジャズピアニスト、Enrico Pieranunziはビルエヴァンスに影響を受けたアーティストの一人です。アルバム"The Chant Of Time"(618号で紹介)を初めて聴いたときとても美しいピアノジャズに感動しました。 今回ご紹介するアルバムはBrussels Jazz OrchestraとBert Jorisのトランペットとの共演"The Music Of Enrico Pieranunzi"です。暑さを忘れさせてくれる美しい旋律、きれいな音色のアルバムです。

"The Music Of Enrico Pieranunzi" Enrico Pieranunzi

01-Persona 6:20
02-Within the House of Night 7:22
03-Fellini's Waltz 6:25
04 Newsbreak 7:28
05-With My Heart in a Song 8:44
06-Coralie 7:30
07-Distance from Departure 8:29
08-It Speaks for Itself 8:57

ジャズアルバムの紹介リスト
http://www.zakkayanews.com/jazzlist.htm  
《R.O.》

 

編集後記

バーゲンをやっている店に積まれた服を見るたびに、売れ残った服はどうなるのか気になっていました。先日、"ガイヤの夜明け"で売れ残った服をテーマにした番組がありました。日本では毎年、売れ残った新品の服が40億着も処分されていると知り驚きました。リーズナブルな価格で服を気軽に買えることはうれしいことですが、アパレル業界は悲惨なことになっているようです。

先週は台風12号の直撃がありひどい週末でしたが、今週末は天気が安定し、昨夜は淀川花火大会が開催されました。例年通り私たちは16階から観える花火を楽しみました。まだまだ暑い日が続きそうですが、熱中症にならないよう夏を楽しみたいですね。

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http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.1160

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com