龍翁余話(502)「師走を元気に乗り切ろう」
前号の『龍翁余話』(501)の冒頭に【「あ〜あ、もう師走か」――これ、後期高齢者にとっては、うら寂しい響きの呟きである。(中略)翁は八十路を迎える前年の暮れから“師走とは残り日数える覚悟月“】と書いた。更に【幸いなことに、まだ残されて(生かされて)いる。感謝である】とも付け加えた。先日の(翁たち高齢者の集まりである)”シニア会”
の昼食会でも、そのことが話題になった。そして結論は「どうせ生かされているんなら、元気に生きなきゃ損だよね。とりあえず、この師走を元気に乗り切ろうよ」ということで落着した。
“落着”までの話の内容は(いつものことながら)『高齢者の病気』が主流だ。メンバーのほとんどが、かつては様々なジャンルの専門家(元教育者)であったが、現在は、一様に“老人病に関する(体験的)専門家”である。つまり“シニア会”のメンバーは、今や、“病(やまい)と闘う日々”を過ごしているのだ。ご承知のように老人に多く見られる病気と言えばガン・心臓病・高血圧症・糖尿病・高コレステロール症・前立腺肥大症・リウマチ・膝痛・腰痛・便秘・白内障・骨粗鬆症・認知症など。幸いにも“シニア会”のメンバーには認知症はいない(翁を含め、それぞれに多少の健忘症的傾向が見られるが・・・)しかし11人のメンバー全員が幾つかの老人病(老年病)を抱えている。(いつも)昼食の後、彼らの前のテーブル上には数種類の薬が並ぶ。翁の場合は昼に飲む薬はないが、朝は高血圧の薬と胆汁分泌促進(肝機能を改善する)薬、夜はその2種類の薬に加え高コレステロールを抑える薬を服用している。メンバーの中で3種類の薬を飲んでいるのは平均的だ。いつだったか、メンバーの1人(76歳)がテーブルの上に5種類の薬を並べたのを見て誰かが「どれが、何の薬か分かっているの?」と訊ねたら「どれが何の薬かよく分からないが、出かける時、女房に、これだけ飲め、と渡されたので・・・」に、みんな大笑い。でも、危ない、危ない“正しい薬の知識”は持っていたいものだ。
“シニア会”のメンバーが抱えている病気で多いのは“生活習慣病”と呼ばれる『高血圧症』・『高コレステロール』・『糖尿病』の3つだ。聞くところによると『高血圧症』は男女ともに通院者率は最も高く、約4,000万人いるとのこと。現在、65歳以上の高齢者人口は3,461万人(平成28年9月現在)。高齢者全員が高血圧症ではないので、65歳以下の人にも、かなりの『高血圧症』患者がいるということになる。『高血圧症』の原因は塩分過多、飲酒、喫煙、疲労蓄積、ストレス、睡眠不足、肥り過ぎ(メタボ)。翁は生来が下戸、煙草も8年前のガン手術以後禁煙しており、塩分摂取も気を付けているし、よく眠る。70歳から現役を退いているので日々ストレスを重く感じることはない。ならば翁の『高血圧症』の主な原因はメタボということになる。8年前までは63キロ前後の痩躯であったのに禁煙以来、急に肥り始め、今は74キロ前後。主治医から「メタボは万病の元」と厳重注意されているのだが・・・“シニア会”11人のうち(翁を含む)8人が『高血圧症』だ。
偶然にも、『高血圧症』の8人が一様に『高コレステロール症』の薬も服用している。翁は8年前のガン手術以後『高コレステロール症』と診断された。ドクターから「卵類・ウニ・イカ・エビ・イクラ・チーズ・バター・シュークリームなどは高コレステロールを促進する」と注意された。だが実のところ、これらは全部、翁の好物ばかりだ。ドクターにその旨を話して(懇願して)高コレステロールを下げる薬を服用するようにした。おかげで、以後は何を食ってもコレステロール値は(善玉・悪玉ともに)正常値だ。
『糖尿病』も“生活習慣病”の1つ。日本人は遺伝的にインスリン(膵臓から出る体内ホルモンの1種で、血糖値を下げる働きをする)の分泌が弱い人種だそうで、その遺伝的な体質に加え過食(特に高脂肪食)、運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣や加齢が主な要因だそうだ。“シニア会”11人のうち5人が『糖尿病』。その予防法は『高血圧症』や『高コレステロール』予防と同じく飲酒・喫煙・塩分や糖分を控えるとのこと。幸いにも翁は『糖尿病』はない。
ところで、“シニア会”11人の中に『前立腺肥大症』に苦しんでいる人が2人いる。『前立腺ガン』が心配なので、勿論、2人とも定期検査を受けている。検査の種類は、血液検査(PSA)、直腸診・経直腸エコー、前立腺生研、画像診断(CT,MRIなど)がある。この2人、単なる肥大症か、それともガンの疑いがあるのか詳しく聞いていないが、かなりキツイことは確かなようだ。実は翁も古希を過ぎた頃、前立腺肥大症になりかかった時期があったが、8年前にガン手術をした際、主治医が(ついでに)肥大部分も切除してくれた。そのおかげで極端な肥大症状はない。前述の2人も早く手術して貰いたいのだが・・・
このように翁たち“シニア会”の面々は、それぞれに“老人病”を抱えてはいるが、抱え込んでしまった以上は、荒治療で克服するか、年齢的なことで無理が出来ないようであれば、もう開き直って病気とウマク折り合いながら出来るだけ進行を緩やかにする方策を選択することが肝要だろう。医師に対しては(自分の命がかかっているのだから)遠慮せず言いたいことを言えばよい。また“セカンドオピニオン”を持つこともいいだろう。この“セカンドオピニオン”については別の機会に取り上げたい。
「師走を元気に乗り切ろう」のタイトルなのに“老人病”の話になってしまった。改めて「師走を元気に乗り切る」ために翁が気を付けたいこと『風邪』、『食べ過ぎ』、『イライラ』。そして行ないたいことは『語り合い』――病気のことだっていい、世の中のこと、家族のこと、友のこと、趣味のこと、昔話、何でもいい、大いに語り合い、自分流でこの師走を元気に乗り切ろうではないか・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。 |