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1032号

 

NO.1032        Ryo Onishi              2/21/2016

 weekly
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雑貨屋のひとり言

朝の経済番組でウーバーというスマートフォーンのアプリを使った配車システムの出現で世界一と言われているロンドンのタクシー利用者が4割も激減していることを知りました。ドライバーのたゆまぬ努力で築き上げてきた世界一のタクシーサービスですが、地図アプリを利用した安価なタクシーに客を取られ、ドライバーが怒ってストライキをおこしています。 はたしてロンドンのタクシーは存続していけるのでしょうか?
テクノロジーの進化によってこれまで人間がやっていた仕事をコンピュータやロボットが代わってやれるようになってきました。それはそれで助かることも多々あ りますが、職まで奪われてしまうと困ってしまいます。職を失っても別のもっといい仕事がすぐ見つかる社会であればいいのですが、残念ながらそんな社会にはなっていません。
現在地球上に 生存する生物は強いから生きてこられたのではなく変化した環境に対応してきたからだと言われています。人間はテクノロジーの進化という大きな環境の変化に対応できるようにするか、そんなものに負けないスゴ技を極めるかしかないのでしょうか。≪R.O≫

 

夢 の ゆ め ― 近 松 恋 物 語 り ―

 流行歌としては既に古くなりましたが、一昨年流行った演歌に『夢のゆめ―近松恋物語り―』
(たかたかし作詞、弦 哲也作曲、佐伯 亮編曲、細川たかし歌)と言うのがあります。私のカラオケ演歌レパートリーの一つです。この歌詞の一番はこんな詩です。

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 ♪ 夫がいます 子がいます
   それでも私は 女でいたい
   許してください 恋ゆえに
   切れぬ縁(えにし)を この人と
   捨てる命を 捨てる命を 愛する罪を
  *********************

カラオケのメロディに合わせて歌っているぶんには、どうという事はありませんが、改めてこのように文字にして見ると、この歌詞は何とも恐ろしい内容だと気づきます。歌の副題に「近松恋物語り」とあるので、近松文学を題材にしていることがわかります。

私はカラオケでこの歌をうたうたび、だいぶ以前にこの Zakkaya Weekly に寄稿した一文を思い出します。【「愛と恋の差(1)、(2)、(3)」(Zakkaya Weekly No.84,85,86)参照下さい】
以下は、このときの文章の続きに相当するもので、「愛と恋の差(4)」とでも言えるものです。

 以前の文章「愛と恋の差(1−3)」で私は次のような“独断と偏見”を披露しました。
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「愛(愛情)」とは、時間・空間を超越した存在であり、自己犠牲にも喜びを感じ得るもの(あなたの幸せ、私の喜び)、時には神と人との関係(契約)にも喩えられるものを言う。
 一方「恋(恋情)」とは、一種の現象・衝動であり、始まりと終わりが存在する。どちらかというと自己中心(私の幸せ、私の喜び)で、これは明らかに人と人との関係(契約)のなかに存在する。

 「愛(愛情)」の一つの典型として 親の子供に対する気持ちを考えてみよう。親は我が子が何処に居ようが、どんなに遠く離れていようが、わが子に対する愛情は変わらない。また自分の子は何歳になっても我が子であり、親としての愛情に変わりがなく、我が子の幸せを願うのが普通である。これは明らかに 時間・空間を超越し、自己犠牲のもとに成り立つ関係と言える。勿論 真の夫婦の関係もこの 「愛(愛情)」 による絆がベースになるものだろう。

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「愛」の意味について、手許の国語辞典も次のように定義しています。(三省堂、国語辞典−第二版)
 @(相手のしあわせや発展のためにつくす)まじりけのない、あたたかい気持ち
A 〔男女の間の〕愛情。Bものごとをたいせつに(好きだと)思う気持ち。  
一方、恋の意味は、
  〔男女の間で〕好きで、あいたい、いっしょになりたいと思う強い気持ち(を持つこと)。恋
   愛。
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さて、話を最初の「夢のゆめ ― 近松恋物語り ―」の歌詞に戻します。
 夫も子供もいる主人公(女性)が「許してください」といっています。歌詞をあまり深く気にしないで歌っていると、この歌は“道ならぬ恋”の罪に我が身をさいなまれ、夫やわが子に対して「許しを乞うている」ように思えるのですが、よく吟味してみると、どうもそうではなさそうです。ではこの歌の主人公は一体、誰(または何)に対して「許してください」と言っているのでしょう?

 歌詞の文脈からは明らかに相手は“夫やわが子”ではありません。「許してください」という文言は“恋”ゆえに「捨てる命」と「愛する罪」につながっています。と言うことは、この主人公は自分の夫や子に対して“許し”を求めているのではなく、“不倫の恋”が“不倫の愛”になってしまったのを恥じて、許しを請うていることが判ります。 

 この歌は「近松恋物語り」であるので“不倫の恋”については、感情(パッション)の発露として、また人間の業(ごう)として認めた上で、その“不倫の恋”がいつのまにか命まで捨てるほどの“不倫の愛”になってしまったことに「罪」を課しているようです。なぜなら“恋”は人と人との関係(契約)であるのに対し、“愛”は人の神に対する関係(契約)であるからです。“愛”に対する“不倫”は神との契約違反です。
 
と言うことで、このように歌詞を理解してゆくと、結局、この歌の主人公が「許してください」と言っている相手は“不倫の愛”という契約違反をしてしまった“神”である、というのが私の結論でした。
  
演歌を含めた歌謡曲とは「人間に対する恋の応援歌」だと誰かが言っていましたが、こんな応 援歌もあるのですね。普段ならとうてい口に出せない言葉も歌詞としてなら平気で歌える、カラオケとはありがたいものです。
  
また、作詞者はさすがきちんと“愛”と“恋”の差をわきまえて作詞をしています。さすがたいしたものです。

河合 将介( skawai@earthlink.net )

 

    

川柳(東京・成近)

 


( 川 柳 )


似合うわと言われてからのベレー帽

三文判ポンで間違いなく私

十二桁の外で夫婦の隠しごと

夫婦してボケの兆しを笑い合い

傘寿なお十年日記買う気概


( ニュースやぶにらみ )


「西沙諸島にミサイル」

人工衛星だよな正恩くん ―習主席

「ましゃロス」

わかりますか −老化度テスト

「三寒四温」

そして春か、いいなあ ―乱高下の株価

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

龍翁余話

龍翁余話(413)「インフルエンザの候」

日本の伝統文化の1つに、詩歌に用いられる“季語”がある。詩歌ばかりでなく、正しい挨拶文にも“時候語” (季節の言葉)が使われる。“季語”と“時候語”の区別は、なかなか難しいので翁は両方とも“季語”と呼ぶことにしている。春夏秋冬、変化に富んだ日本の四季の美しさと日本人の心の優しさ、繊細さ、豊かさが凝縮された“季語”を翁はもっと大切にしたいと思っているのだが、パソコンやスマートフォンに振り回されている今日、ちゃんとした手紙を書く機会が少なくなり、いざ、旧友や会社・団体関係に(かしこまった)文章を書こうとする時“季語集”( 岩波新書)を引っ張り出さなければならないほど“季語”を忘れかけている。

2月の時候の挨拶には「残寒の候」、「余寒の候」、「立春の候」、「早春の候」、「梅花の候」、「鶯啼の候」など実に文学的香りの高い“季語”が使われるが、タイトルの『インフルエンザの候』などという言葉は、勿論“季語”にはあろうはずはないし、これは翁の造語である。では、何故この迷惑千万なウイルス性呼吸器感染症をタイトルにしたかと言うと、冬季のメールや口頭での挨拶には(翁の周辺では)必ず「インフルエンザに気をつけましょう」の文言が使われるからだ。全年齢に見られる普遍的で最も頻度の高いこの病気は、毎年冬季に流行する。12月から3月までは、まさに「インフルエンザの候」なのだ。街に出れば、マスクをしている人、咳き込む人をたくさん見かける。テレビ・新聞報道では(時折)幼稚園や保育園の休園、小学校や中学校の休校、学年・学級閉鎖なども伝えられる。

翁は、風邪とインフルエンザに対しては神経質なくらい予防に心掛けている。毎年、11月にはワクチン接種もしているし、自分の車以外で外出する時は必ずマスクを着用(特に駅のホームや電車の中、映画館、ホール、病院など)、行先に着いたら、まず2,3回うがいをしてからアルコール消毒液かハンドソープで(爪の先まで)手を洗う。帰宅したら、玄関ドアを開ける前に軽く上着をはたいて入り、真っ先にうがいと手洗いをする。寝る前に日本茶の出がらしをマグカップに入れておき、トイレに起きた時、それでうがいをしてから、水を2,3口飲む。それを習慣づけている。それでも“絶対安全”はない。

昨年の4月に『余話』(368)「五反田・目黒川の夜桜」で紹介したが、翁は五反田・大崎界隈に住んでいるシニア6人の仲間と月に2,3回、五反田駅周辺で“ランチ親睦会“を催している。このグループを翁たちは『五反田シニアサークル』と呼んでいる。昨年の忘年会や今年の新年会の席で、翁が(前述の)風邪・インフルエンザ予防法をしゃべったら、先日の”親睦会“で、世話役のFさん(郷土史家、元高校教師)が、「龍翁さん流の予防法を真似するようになったら、お蔭でメンバーは誰も風邪を引かないし、インフルエンザにも罹らない」と、翁を喜ばせてくれた。しかし翁は、風邪やインフルエンザに対する専門的な知識を持っているわけではないし”感覚的自己防衛策“に過ぎないので、この際、インフルエンザの本質を学習して次回の”親睦会”で知ったかぶりを披瀝しようと、いくつかの資料を調べた。

国立感染症研究所発行の『インフルエンザ対策』によると、風邪の多くは発症後の経過が緩やかで、発熱も軽度、クシャミ・鼻水・鼻づまり・喉の痛みなどが主な症状だが“風邪は万病の元”と言われるだけに油断は禁物。一方、インフルエンザはA型、B型、C型があり(C型は幼児が稀に感染する程度で流行性はないが)A、Bは非常に流行性が高いので充分な警戒を要する。A型の症状は、頭痛、喉の痛み、鼻水、咳などは風邪と同様だが、何と言っても(比較的急激に)38度以上の高熱におかされ、きつい悪寒(ふるえ)、めまい、関節痛、筋肉痛、腰痛、倦怠感(だるさ)に襲われ、肺炎や脳炎などを併発して重症化することがある。B型の症状は、A型とほとんど同じだが、ほかに胃炎、気管支炎などを併発する。A型の感染経路は人から人、動物(豚や鳥など)から人へ。B型は100%人から人へ。
インフルエンザに感染しやすく重症化するのは高齢者、乳幼児、妊婦のほか、慢性的な呼吸器疾患、心疾患、糖尿病、慢性腎臓病を持つ人など一般的に抵抗力が低下した人が罹りやすいとされている。

国立感染症研究所感染症疫学センターの最新情報によると、インフルエンザが今、全国的に最重要警戒レベルに達しているという。2月8日〜15日の間に全国の医療機関で受診した患者数は約205万人、前週の164万人よりはるかに増加した。同研究所は「とにかく急激な体調変化が生じたら迷わず(早めに)医療機関で受診すること。家族にインフルエンザに罹った人がいたら、出来るだけ(他の人との)接触をさけ、安静を保つこと。家庭内でもマスクをするように」と呼びかけている。また、厚労省発表によると、2月1日〜7日のわずか1週間で(全国で)約6000の休園、休校、学年・学級閉鎖があったという。学校保健安全法では「インフルエンザ発症後、5日を経過し、かつ、解熱したあと2日を経過するまで自宅療養すること」となっている。大人にはこのような法律はないが、厚労省では「とりあえず、子供の基準に合わせ行動期間を設けること。インフルエンザは、主に、咳やクシャミの際に口から発生する小さな水滴(飛沫)によって感染する。したがってインフルエンザに罹った時は出来るだけ外出を控え、インフルエンザを流行させない(拡大させない)社会的責任を感じてほしいう」と言っている。

電車の中などで、マスクもせず、口に手を当てることもしないで咳をしたりクシャミをしたりする“エチケット知らず人間”が(たまに)いる。そういう輩(やから)は自分に注がれる周辺からの“非難の目”にも気付かないバカだ――と、まあ、以上のようなことを次回の“懇談会”の話題に、考えていたのだが、もう書いてしまった――【梅枝の鶯啼きて春呼べど インフル峠 いまだ越へざる】・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

 

茶子のスパイス研究

今週はお休みです。

茶子 スパイス研究家

 

さくらの独り言

今週はお休みです。

 

ジャズライフ−今週のお奨めアルバム

今週はピアノジャズで行きましょう。紹介するのはデンマークのジャズピアニスト、Peter Rosendalの独特な味のある音色が心地よいピアノジャズです。北欧のアーティストのピアノジャズはどこか共通点があるようで1025号で紹介したノルウェーのTord Gustavsenとちょっと似た雰囲気です。(うまく表現できませんが。)
どちらかと言えば静か目の曲が多いので寝る前に聴くのもよし、朝から聴くのももちろん良いと思います。
下記のURLで試聴できます。
http://diskunion.net/latin/ct/detail/XAT-1245566043


"Crescent" Peter Rosendal Trio

01-Crescent
02-Humming Me
03-New Linen
04-Piranha
05-The Water Is Wide
06-Belo Horizonte
07-Tunge Morke Natteskyer
08-Pulp Friction
09-Silvery You
10-Tactile Blue
11-Like Someone In Love

ジャズアルバムの紹介リスト
http://www.zakkayanews.com/jazzlist.htm  
《R.O.》

編集後記

インフルエンザの流行がずれ込んで今月になってから一気に増えていますが、みなさんは大丈夫ですか。私たちは幸いにも元気に暮らせています。予防接種は受けなかったのですが、規則正しい生活とヨガで免疫力がアップしているのかなあと勝手に思っています。《R.O.》


雑貨屋のブログ→ http://zakkayanews.jugem.jp/
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.1032

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com