世界のブレンドスパイス 日本編 七味唐辛子
それにしても大雑把に世界を見渡してみても世界各国には其々昔から伝えられてきた伝統料理がありそれに合ったブレンドスパイスがあるものだ。今回は日本の代表ブレンドスパイス七味唐辛子をこのシリーズの最終回としてとりあえず締めくくろうと思う。日本の家庭では大抵どこの家にもあるのがこの七味唐辛子。古くは江戸時代に蕎麦が流行った頃にその蕎麦に合う七味唐辛子として作られたそうだ。もちろん、蕎麦だけでなくソーメンやうどん和風スパゲティ、白菜のお漬物などにも使われ、たった一振りで味が引き立って美味しくなる便利なブレンドスパイスだ。最近では、この七味唐辛子、米国のマーケットにでさえ見かけるようになってきた。このLAでも日本のラーメン屋だけでなく、うどん屋、お蕎麦屋さんのレストランでもアメリカ人の姿を見るようになってきた。こうやって日本食の知名度が上がってくるに従って和風スパイスも売れるようになってきている。七味唐辛子の発祥地である江戸の昔の地図を見てみると両国のあたりに薬研掘りという地名がある。薬研というのは漢方薬を磨り潰す道具の事を言うそうで両国の薬研掘りあたりには漢方医や医者が多く住んでいたようだ。そしてこの七味唐辛子は漢方薬を参考に作られたとも言われていて風邪のひきはじめにも効くと重宝されていたようだ。確かに七味唐辛子に使われているスパイスを一つ一つ見てみると其々に薬効成分のあるもので構成されている。
基本は赤唐辛子、粉山椒、黒ゴマ、陳皮、青のり、けしの実、麻の実 (生姜、白胡麻)などが使われているが地域や各メーカーによって多少ブレンドの仕方や入れるものが違うようだ。
以前、コロラドに数か月滞在していた時にスパイス専門店に入った事がある。その時、日本の七味唐辛子を見つけた時はすごく驚いた。このスパイス専門店のオーナーが日本に行った時に、このスパイスに惹かれて自分で見よう見まねでブレンドしたそうで、それを小袋に入れて売っていた。試しに購入してみたが香りといいブレンドの配合や分量といい、やはり日本の七味唐辛子とは違っていた。珍しいので日本にも持って帰ったがとうとう料理しないまま湿気てしまい日の目を見る事は無かった。日本では名物として信州の善光寺の七味唐辛子、京都の赤七味唐辛子や黒七味唐辛子も有名で最近は柚子七味唐辛子など様々な七味唐辛子シリーズが出ていて面白い。
茶子 スパイス研究家 |