あまり 知られていないL.A. 観光スポット(129)
ターミナル島「漁師の像」記念碑 ロサンゼルス港の入り口、ターミナル島(Terminal Island)は、港湾関係の会社と貨物船埠頭が並び、コンテナー運搬トラックがあわただしく行き交う、国際海上貨物の拠点のひとつです。この島の一角の海辺に、鳥居と漁師の像を中心とした「ターミナル・メモリアル」が完成し、7月6日に落成式が行われました。
このターミナル島は100年以上前まではヨーロッパからの移民が漁業に携わっていた漁村でした。1900年代初め頃から日本人移民も加わり、アワビ採りなどをしていましたが、彼ら日本人移民とアメリカ生まれのその子供達によるコミュニティが拡大し、最終的には 3,000人を超える日本人、日系人が定住するようになりました。
彼らは漁師として、また缶詰め工場労働者や商店経営者として豊かに暮らしていました。
1941年(昭和16年)12月7日(アメリカ時間)の日米開戦はこのコミュニティの運命を一変させました。
翌年1942年2月、彼らは48時間以内にターミナル島を退去するよう命じられ、島を追われることになります。
家も財産も二束三文で売ったり、捨てたり、預けたりした日系島民達は最終的には「大統領令9066号(Executive Order 9066)」にもとずく軍司令部の命令により他の日系人同様、殆どの人は全米各地の収容所へ送られることになったのです。
戦時中、この島は海軍基地となったため、島民は戦争終了後も帰る場所をなくし離散してしまう運命をたどります。
ターミナル島「漁師の像」記念碑構想は、島の歴史を後世に残し語り伝えるため、1971年に旧島民有志による「ターミナル島人会」が中心にスタートし、ここでようやく落成させたものです。
2002年7月6日午前の落成式典には関係者多数(「羅府新報」によると、旧島民、在日本国総領事、日系各種団体、ロングビーチ市、港湾関係者など日米から約700人出席)が出席し、太鼓の演奏、お払い、鏡割りまであり、賑々しく行われたとのことです。
私達夫婦は落成式当日の午後現地へ行ってみました。記念碑周辺は既に静かになっていましたが、何人かの旧島民に会い、思い出話を聞かせてもらいました。
ここにはブロンズの「鳥居」と「漁師の像」のほか、当時の写真や資料が埋め込まれた大理石の壁などがあり、この島と日系人の歴史を語ってくれます。
「観光スポット」と言うには重い意味を持つ場所ですが、先人の苦労を偲び、こんな時代もあったことを心に刻むため、一度は訪れたい記念碑です。
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行き方は次の通り(Torrance方面よりの場合)
- FWY#110(Harbor Freeway)の南終点の一つ手前の出口(Vincent Thomas Bridge/ Terminal Island)を降り、そのまま 0.8マイル、ロサンゼルス港をまたぐ大きな吊橋を渡る。
- 吊り橋を渡ってすぐのFerry St.方面出口の道路へ入り、Ferry St.を左折(南へ)。
- Ferry St. を約1マイル進み、Terminal Way を右折(西へ)。
- Terminal Way を1.3マイル進むと左側に鳥居ろ漁師の像がある。
- 全行程(FWY #110出口から) ;約4マイル 約10分
河合将介( skawai@earthlink.net )