木材祭り @ カレースープ準備編
先週の金曜日は関東地方で夕方から激しい大雨があり、おまけに雷と地震まであって天気は大荒れ だった。その頃私は千葉駅から車で40分内陸に入った木工所で翌日の木材祭りにいらっしゃるお客様のスープカレー作りに追われていた。何しろ300人分など作った経験が無かったので単に4人分のレセピから300人ぶんを割り出せばいいのか一抹の不安を抱えながら、まずはスープベースに必用な玉葱を無我の境地でひたすら切りまくっていた。
一昨年前に自宅をリフォームして頂いた後、かしの木建設の木材祭りに母と初めてご招待されお 客様代表としてスピーチをさせていただいた。そして、すっかりこの木材祭りが気にいってしまい次の年、今度はスタッフとして参加させてくださいと私の方からお願いしたのだ。″カレースープはカレーから小麦粉と動物性の脂を除いたものでヘルシーなんです″と言った私の言葉に常務が関心を示してくれた。
ところが昨年は311で千葉も大被害を蒙り、かしの木の会社の人たちも、それに追われ本来の仕事どころではなく木材祭りも翌年に見送られた。毎年心待ちにしているたくさんのお客様の為に今年は去年やれなかったぶんまで派手にやりましょうとマグロの解体ショーまで用意されていた。私のカレースープのブースとスパイスの展示ブースもあっという間に作ってくださった。
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今年は新たに子供たちの為に作られた和室 ″憩 ″の部屋も用意され ″厠 ″と木彫りでデザインされたおしゃれなお手洗いも作られていて新しい木の匂いがしていた。
それにしても大きなダンボールの中にこれまた大玉の玉葱がどっさりあるのを見た時には驚いた。事務所は、たちまち玉葱のむせ返るほど強烈な匂いで充満していった。事前にお願いしておいた玉葱を切る時の水中眼鏡は玉葱の汁が飛び散り曇って視界が見えにくくなっていた。一昨年前家のリフォームの際、お世話になった方々が声をかけてくださっても、そのメガネからは誰が誰なのか全く検討がつかないほどだった。常務も玉葱に反応して泣きながら約バケツ2杯分の玉葱を一緒に切り刻んで手伝ってくださった。減らない玉葱の量に″あのー私こんなに玉葱をオーダーしましたでしょうか?″という質問に常務の方は ″はい、おっしゃられたとおりに ″と答えられた。かぼちゃも、すごい事になっていた。私がいつも買う八百屋さんのかぼちゃは小ぶりだが、その3−4倍もある、りっぱなかぼちゃが用意されていた。
″しまった、グラムとか直径何センチぐらいのかぼちゃでいくつとオーダーするべきだった、″と後悔。
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事務所の女性も私が行く前からせっせとかぼちゃを電子レンジで蒸していてくれていた。途中雷のせいか電子レンジが作動しなくなったりしながらも何とか電子レンジが復活して働いてくれた。玉葱の量も多かったがココナッツミルクの缶もミックスベジタブルも油揚げも、どっさりとすごい量になって山積みされていた。玉葱をひたすら切っていると常務が ″このシメジも切りますか?″と聞いたので振り返るとまたまたすごい量のシメジがそこにあった。 ″エーッ!私シメジも頼みましたでしょうか?″ と思わず間抜けな質問をしてしまった。自分で頼んだのに、どのレセピを渡したのか、記憶が吹っ飛んでいた ″はい、おっしゃるとおりに とあっさり答えられる常務。水中めがねの中の私の目は点になりっぱなしだった。
最後の最後までレセピをどれにするか迷っていたので、いくつものレセピが浮かんでは消えメリーゴーランドのように頭の中をぐるぐる回っていた。当初考えていたレセピの材料やスパイスが日本では手に入らないことも後からわかってギリギリでレセピの変更もしたりした。
常務からスープ用の鍋を2個用意しているので見てみますかと案内され、それを見て私の頼んだ具財はその鍋に半分もあれば充分だということがわかった。これで、もう玉葱も切らなくてすむと少しホットした。その次にスープの辛味の加減が難しかった。いらっしゃるお客様はご年配の人から子供まで幅がある。辛過ぎて私のスープを飲んだ途端、咳き込んだり、むせたりするお客様が続出したら、もう来年はいいですと言われかねない。ふとそんな様子も頭に浮かんだりした。ともかく家族皆が食べやすいスープの方が安全かと急遽どっさり南瓜を入れてカレースープと言うよりかぼちゃスープになってしまった。香辛料は見事にかぼちゃに打ち消された。それでは物足りない人もいるだろうとやや小さめの鍋の方は控えめにグリーンカレーの香辛料を入れた。ようやく何とか6時過ぎにはスープの準備が終わって後はスパイスブースの展示だけになった。
それにしても私の人生でこんなに玉葱を切った事はない。自分のギネスブックに書いておこうと思ったくらいだ。洗っても消えない左手の玉葱の匂いを嗅ぎながら、ともかく後は一晩スープを寝かせて味が美味しくなっていますようにと祈りながら会場を後にした。
(続く)
茶子 スパイス研究家 |