Zakkaya Weekly No.402
Ryo Onishi 1/25/2004
雑貨屋のひとり言 さくらの独り言 川 柳 & コント バックナンバー 成岡流お酒の楽しみ方 河合さんの・・・ 森田さんの・・・ 健康のお話 雑貨屋ホーム 先週は寒い一週間でした。久しぶりに寒い冬を経験しました。トロントにいたとき、この時期は毎日マイナス10度くらいでした。でも家の中はTシャツ、どこへ行くにも車での移動でしたので寒いという感覚はなかったものです。日本では歩いている時の信号待ち、プラットホームで電車を待っているときなどに特に「寒い」と感じます。
BSE問題に続いて、鳥インフルエンザです。外食産業はつらいことになってきました。いや、私たちにも影響がでますよね。(R.O.)
猿 を 弁 護 す る( 朝 三 暮 四 ) 今年は十二支(干支)で言えば『申(さる)年』です。一般に申年生まれの人の性格は『明朗快活・軽妙にして機敏、前向きで楽天的な性格の持ち主』なのだそうです。そしてさらに『聡明で知能が高く、緻密な思考力で臨機応変に振る舞うことが出来、さらに、手先が器用で、人の面倒を見ることが好きな人が多い』のだとか、たいへん好ましい性格のようです。
ところで、私が動物の『猿』といわれて最初に思い浮かべるのは「孫悟空」、それから「猿かに合戦」、「桃太郎」、「キングコング」と言ったところでしょうか。そうそう、「日光猿軍団」も思い浮かべました。
「猿」は動物の中でいちばん人間に近いとされ、智恵がある生き物の代表格の扱いですが、でも「猿智恵」、「猿真似」のような表現も多く、なんとなく「ずる賢い」、または「まぬけ」なイメージが付きまといます。
「桃太郎」のお供の猿は“智恵”の代表としての役割を果たしますが、「猿かに合戦」の猿は完全に“悪智恵の敵役”的存在です。(芥川龍之介は「猿蟹合戦」で蟹を罰していますが・・)
そこで、なんとなく分の悪い“お猿さん”のために、ここで私が多少弁護をしようと思い立った次第です。
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「 朝三暮四 」 (または 「 朝四暮三 」 ともいう) とは昔、漢文の時間に習ったことがある四字熟語です。この熟語について改めて辞書で確認してみました。
『春秋宋の狙公が、手飼の猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ 暮に四つ与えようとしたら
猿は大いに怒り、そこで朝に四つ 暮に三つにしたら猿は大いに喜んだという故事。目前の差別にばかり拘泥 ( こうでい ) して、同一の結果になるのを知らないこと。(岩波書店、広辞苑)』
とありました。
要するに 3+4 であろうが 4+3 であろうが答えは 7 であり、結果は同じなのに、目先の差別にだけとらわれる 「 バカな猿 」 を笑った表現なのです。
でも この 「 お猿さん 」、本当に 「 おバカさん 」 だったんでしょうか。もしもこの猿が 現代資本主義の世に生まれていたら、経済感覚を備えた 「 利口な猿 」 と言われるのではないでしょうか。
ビジネスの世界では、売掛金の回収は1時間でも早く、1ドルでも多く、というのが原則です。全額回収さえ出来ればいつでもいい、なんて言っていたら企業は倒産です。この猿は資金回収の原則、余剰資金の運用、資金繰りの重要性など ちゃんと心得ていたからこそ 一時間でも早くと、先に4個を要求したに違いありません。
算数としては、3+4も 4+3も答えは同じ 7ですが、意味するところは大きく違います。
私もこの猿を見習っていたら、もう少しお金持ちになれたかもネ・・。
今回は「申(猿)年」にちなんで猿君の名誉のため一文をしたためました。次回「蟹年」には蟹君のために書きます。(エッ?、干支には「蟹年」なんてない?、アア、ソウダッタ! 河合将介(skawai@earthlink.net )
さくらの独り言 「回転椅子」
“さくらのタクシー原則2カ条”には、「個人タクシーには乗らない。特別な場合を除き、なるべく流しのタクシーを捕まえる」がある。前者は気分よく乗れたためしがないという私の実経験から、後者はサービス業の基本を説いたタクシー運転暦32年という江戸っ子プロタクシー・ドライバーからの受け売りだが、案外これで気分良い移動ができていた。ところが、タクシー基本料金から1〜2メーター上がる距離を、毎日の通勤がタクシーである松葉杖生活の今の私には、この2カ条厳守は難しい。だから、しかたなく色々なタクシーに乗る。すると、様々な思いにさせられたり、再発見や体験をさせてもらったりする。過剰接待づくしバブル期の長距離チケット乗客を忘れられず、短距離乗車を告げた途端に返事もしなくなる横柄な運転手に出くわし大変不愉快になる場合もあれば、回転椅子付き車種を親切に説明してくれる誇り高き運転手にもめぐり合う。サービス業や営業が、お客あってのものだとあらゆる角度から示唆させられる。
病院玄関で客待ちしているタクシーに乗り込んだ時のこと。外見に大きな違いはないものの、なんとなくステーションワゴンに乗り込む錯覚を持った。そして後部座席下に通常はないパイプが目に入った。いつもは置き場に困る松葉杖が、悠々と横に置けた。「運転手さん、これは特別なタクシーですか?」と即座に訊ねた。都内に4000台近い車両を有する某タクシー会社のこの運転手は、どの規模のタクシー会社であっても、必ずこの車種を10台完備することが規定付けられていると前置きし、『よくぞ訊いてくれました!』と言わんばかりの勢いで、私が腰掛けている後部座席の一部、「回転椅子」の機能、認知・活用度、そして強弱点などについて説明してくれた。目的地へ到着し降車する折、その運転手は私に「回転椅子」を体験させてくれた。日頃乗って降りるだけの一瞬の時間・空間を、360度近い回転と緩やかな速度で動かされると、なんと、見えなかったものが見えたり、聞こえなかった音が聞こえたりして、嬉しさと同時に色々考えさせられるものだった。
ところで、回転椅子といえば、日本経済新聞に「回転いす」というコラム欄がある。私はこの欄を毎日欠かさず読んでいる。1月23日(金)のそれもなかなか頷けるものだった。ここにご紹介したい。
「接待よりサービスで・・・デル日本法人社長 浜田宏氏・・・
宴席にはめったに顔を出さない。『接待でパソコンを百台、千台と買ってくれるなら毎晩でも飲む。』しかし『IT(情報技術)を使いこなす企業の顧客満足度は、接待では上がらない。仕事の役に立てば買うし、立たなければ買わない』日本の接待文化は企業統治にも悪影響と見る。『社員は深夜残業で不況と闘っているのに、トップが毎晩、6時に黒塗りの車で料亭へ向かう。これでは士気が上がらない』。付き合いが悪いという声も耳に入るが、『サービスの質を上げ、価格を下げればお客さんは認めてくれる』と動じない。」
回転椅子に座りながら360度を見渡せないトップマネジメント陣に、この浜田社長の回転椅子を貸し出してみるのも、日本経済発展に繋がるかもしれなぞっとジョークを飛ばすのは私だけだろうか?(笑い)。
さて、回転椅子といえば、もうひとつ、この2ヶ月間私が愛用した椅子だ。脚にロールが付いた回転椅子、つまりオフィス用ディスク椅子である。ギブス生活における不自由な室内の身動きを、より活動的・創意的・効果的なものへと助けてくれた。レンタル車椅子業者と電話で話をしながら椅子をクルッと一回転したその瞬間、それが狭い室内で車椅子代用品として活躍すると閃いた。どんな状況でも、物事を最適化する手段や道具は、案外身近にあるものだと、独り歓喜した。ギブスが取れ、両松葉杖から片松葉杖への移行に伴う変化(回復)・過程の今、車椅子代行をつとめた我家の回転椅子は、室内移動もなくひと所に定まっている。自分の足だけで元気に活動はしたいが、人生や仕事においては「回転椅子」の活用が必要なのではあるまいか・・・っと呟くさくらの独り言。
(kukimi@ff.iij4u.or.jp)
川 柳 & コント(東京・成近)
( 川 柳 )
賞罰はなしと書いてる日々の汗
賞罰のない履歴書に貼る笑顔
花咲かせ実をつけ悔いのない落ち葉
合掌の手に抜け切れぬ小さな刺
竹人形痩せてく母もふる里も
( ニュースやぶにらみ )
「新メニュー」
苦肉丼 −牛丼店
「無人探査車トラブル」
火星人に襲われたのかな −SFマニア
「トヨタ世界二位に」
スピード違反だ −フォード社
(東京・成近) E-mail nakawai@adachi.ne.jp
http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm
マグロ漁船の人々
元日早々、極上刺身盛り合わせの到来物があった。
去年の暮れ、日系マーケットの鮮魚売り場を横目にみて素道りした、それである。私は賞味しながら、ニ十年ほど前、サン・ペイドロ港へやってきた遠洋マグロ漁船の乗組員のことを、卒然と思い出していた。
アメリカ西海岸沿いを流れる寒流がメキシコ沖の暖流とぶっつかる。その辺りはロス沖と呼ばれ、美味しいバチマグロが獲れる漁場である。日本の各地から出てきた遠洋マグロ漁船は、いつもはハワイ沖から南米までの赤道直下辺りにいる回遊魚のマグロを追っているが、十一月ごろから四月にかけてロス沖に漁場を移す。そして、乗組員の休養とリフレッシュメント、食料の積み込みや給油などをかねてロサンゼルス港へやってくるのである。
日本船にお土産品を供給している私の店に、ある春の日、船舶代理店から連絡がきた。
「こんど入港する漁船は一年半ぶりに日本へ帰るので、みんなお土産を買いたいといってきているから、着岸と同時に船にきてほしい」
私は、湾をわたる潮風に襟をかきあわせながら、海面をすべるように入ってくる漁船を待っていた。巨大な自動車専用運搬船が霧笛を鳴らして漁船を追い越した。幾重にも重なっておしよせるさざ波に、木の葉のように揺れながら漁船が岸壁へ近づいた。綱が投げられる。ラインマンがすばやく拾って係留止めにくくる。ねじり鉢巻の乗組員が、船を傷つけまいと古タイヤを吊るした物を持って走り回る。
大海原をただよいつづけた船体は「疲れた!」とでもいうように、船腹のペンキは剥げ落ち錆びが浮き出ており、貝殻や青海苔が付着していた。
水先案内人が船から降りる。入り替わりに税管吏や植物検疫官、移民官、船舶代理店の人たちが長い脚で一跨ぎに船にのりうつる。乗組員に家族からきた手紙が配られた。彼らは、舳先や艫など好き勝手なところへ散らばって、手紙をむさぼるように読みはじめた。銅版色にやけた顔がほころんでいる。そんな光景をみていると、私の胸がきゅうと切なくなり、涙がでた。
「おばちゃん!」
操舵室のドアーから身を乗り出して船長さんが私を呼んだ。
「オレ、英語がわかんねぇスよ。ちょっくら通訳してくれねぇスか」
「えっ、私に?」
できねぇスよ。アメリカに住んでいても日本語社会にどっぷり漬かっていりゃ、英語なんか話す機会はねぇスよ。ダメっス!。あやうく出かかった言葉をのみこんで、
「はぁーい」
と、ずうずうしく答える。若い船員に手をひっぱられ、よっこらしょと船に乗る。
税関吏や移民官の話を、ボキャボラリーの乏しい私の頭のコンピューターがフル回転してキーを叩く。通訳といっても、最後に出た港は? 期間は? という簡単な質問だけれども、間違えては大変だ。干からびた喉から絞り出すようにして通訳を終えた。
「たいしたもんだべぇなぁ、おばちゃん、助かったス。ありがとう。うまいマグロを持たせるからっサ」
船長さんがいう。
あれでよかったのかと自問自答するが、もう遅い。マグロに値するほどの通訳とはとても思えない。
冷凍長がマグロ一匹、ドンゴロスに巻いて持ってきた。
「醤油をちょこっとつけると脂がぱっとひろがるべぇ。これがうまいマグロだべぇ」
冷凍長が誇らしそうに言った。
そんなことを思い出しながら、私は到来物の中トロを一切れ、口へ放りこんだ。
森田のりえ(moritacn@earthlink.net)何人かの読者から、私が配信したメールがうまく開けなかったり、ウィルスチェックに引っかかったりすると連絡を受けました。WindowsXPに変えてからそういうことが起こっているようですが、やり方を変えて対応したいと思います。おかしなことがあったらすぐに連絡ください。
最近、また新しいウィルスが出回っているようです。みなさんのウィルスチェックは万全ですか?変なメールは絶対開かないでくださいね。万が一の場合でも雑貨屋はWEBでも見れますから。よろしくお願いします。
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Zakkaya Weekly No.402
雑貨屋 店主 大西良衛 zakkaya@news.email.ne.jp